フランスのフルーツ一覧|季節ごとの果物の名前リスト

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フルーツを表すフランス語単語集

フランスを訪れたら、マルシェ(市場)に並ぶ色鮮やかなフルーツの山に目が釘づけになるはずです。農業大国であるフランスはヨーロッパでもトップクラスの生産量を誇る果物大国でもあります。

フランス語で季節の味覚をSaison(セゾン)と呼び、旬を大切にするフランスの食卓では、春・夏・秋・冬それぞれに主役となる果物が登場します。たとえば、ロレーヌ地方の「黄金の宝石」として有名なミラベルは、夏の終わりのわずか数週間しか出回らない希少な味覚。こうした今しか食べられない贅沢がフランスの暮らしを豊かにしてくれます。

この記事では、フランス在住者や旅行者が知っておきたい、フランスの代表的な果物を季節ごとに徹底解説。フランス語での呼び方や、現地で愛される伝統的な食べ方、絶対に味わってほしい果物をつかった有名な料理や菓子まで、フルーツ大国の魅力をたっぷりとお届けします。

目次

春が旬の果物:3・4・5月

3月はまだまだ寒い日が続きますが、太陽の日差しが少しずつ明るくなってくる時期です。フランスのフルーツも彩りが出てくるようになります。

3月や4月の上旬まではまだ冬のみかんなどの柑橘類やりんごも残っていますが、4月下旬になると、マルシェが一気に「春が来た!」という雰囲気になります。春の代表的な果物はルバーブ、そして真っ赤でまぶしい苺です。

Fraise(フレーズ/苺)

苺といえば、その鮮やかな赤色と可愛いフォルム、甘酸っぱい味で春から初夏に向けてのスターな果物です。マルシェを華やかに彩る赤色は春の到来を告げ、初夏に向けての爽やかな気持ちを表現しているようで、ワクワクした気持ちになります。

フランスでは西南部で全体の3分の2(66%)が生産されています。フランスでの年間生産量は6万トン。しかし、消費量はその倍の12万トンにのぼります。足りない分はスペインやモロッコなどからの輸入で補われています。国内産のイチゴは、春の訪れとともに一つひとつ丁寧に手摘みで収穫されてます。

苺はそのまま生で食べることも多く、春のフルーツサラダ(Salade de fruits)が定番です。また、生の赤い果物をのせて作るタルト赤い果実のタルト(Tarte aux fruits rouges)が春から夏にかけてパティスリーを華やかに彩っています。苺だけを乗せたタルト・オ・フレーズ(Tarte aux fraises)も定番です。

タルト・オ・フレーズ(Tarte aux fraises)
苺をたっぷりのせたタルト・オ・フレーズ(Tarte aux fraises)

フランスのマルシェにいくと、品種名が大きくかかれているボードをよく目にします。数ある中から、特に覚えておきたい4つの品種をご紹介します。

ガリゲット(Gariguette)はいちご界のトップアイドル

フランスの苺ガリゲット Gariguette
小粒の苺 ガリゲット(Gariguette)

フランスでいちご界のスターとなっているのがガリゲットで、春の到来を告げる象徴となっています。フランス人の7割以上が知っているといわれている品種です。

真っ赤な赤色で、細身で細長い形をしており、果肉はジューシーで甘酸っぱい風味が芳醇です。主に南西部、および北西部のブルターニュ地方とソローニュ地方で生産されており、3月から6月中旬まで市場に出回ります。そのまま食べたり、生クリームをかけて食べるのがおすすめです。

シフロレット(Ciflorette)は強い甘味が特徴

シフロレットも非常に人気のあるいちごの品種です。フランス原産の品種で、細長い形でオレンジがかった赤色をしています。フランス南部で生産されており、3月から7月にかけて手に入ります。きめ細かくジューシーな果肉で風味豊かで、強い甘さがあります。

苺らしいハート型のシャルロット(Charlotte)

いちごらしいハートの形をしているシャルロットもマルシェで人気の品種です。シーズン中に何度も花を咲かせる品種で、5月から11月にかけて生産されます。南西部、ロワール渓谷、ローヌ・アルプ地方で主に栽培されています。

シャルロットはハート型と鮮やかな赤色が特徴で、柔らかい果肉で、果汁が多くて甘みがあり、野生のイチゴの香りが感じられます。

芳醇な香りでお菓子のようなマラ・デ・ボワ(Mara des Bois)

野生のいちごを思わせるマラ・デ・ボワ、独特な芳醇な香りが最大の特徴です。

マラ・デ・ボワは野生のいちごを思わせる味わいです。淡い赤色をしていて、果汁が多くジューシーで香りが高く、甘味の強いいちごです。フランス全土で栽培されており、5月中旬から10月まで楽しむことができます。

フランスのいちごは単に「苺」として売られているのではなく、品種名で選んで買う文化があり、日本に似てますね。

Rhubarbe(リュバルブ/ルバーブ)

暖かくなり始める4月末頃、春の音連れと共にマルシェに並ぶ赤紫色の茎、それがルバーブです。フランスでは北部と東部で栽培され、春から10月ごろまで生産されます。

名前はラテン語の「野蛮人(Barbare)が食べる植物」という名前に由来すると言われていますが、今ではフランスの春に欠かせない美食の象徴。葉には毒性があるため、食用にするのは茎の部分のみです。(葉は市場では売られません)

生では酸味が非常に強いため、砂糖と一緒に煮込んでコンポートやジャムにするのが一般的。特にとろりと溶けたルバーブをたっぷり敷き詰めたタルト・ア・ラ・リュバルブ(Tarte à la rhubarbe)は爽やかな酸味が後を惹き大人の春スイーツです。

  • rhubarbe ルバーブ
  • rhubarbe ルバーブ
  • rhubarbe ルバーブ

そして、フランスで最も愛されている食べ方が、旬を同じくする苺との組み合わせ。ルバーブのキリッとした酸味がイチゴの甘味を引き立てるジャムやタルトは春の黄金コンビといえます。

Citron vert(シトロン ヴェール/ライム)

citron vert ライム
爽やかな色味と独特な風味が特徴のライムのカクテル

ライムは一年中マルシェで見かけることができますが、旬は4月から11月頃。フランス語で「緑のレモン」を意味するとおり、鮮やかな緑色が特徴です。

使い方はレモンと似ていますが、よりエキゾチックな鋭い香りが魅力。鯛やホタテのカルパッチョの仕上げに果汁を絞ったり、皮を削って振りかけると、風味がぐっと引き立ちます。

また、メキシコ料理のワカモレや、モヒートといったカクテルにも欠かせません。最近では定番のレモンタルトをあえてライムで作るタルト・オ・シトロン・ヴェール(Tarte au citron vert)も洗練されたパティスリーの味として人気を集めています。

Mangue(マング/マンゴー)

mangue マンゴー
フランスではマンゴーはお手頃価格で手に入れることができます

その芳醇な甘味から「熱帯の桃」とも称されるマンゴー。バナナに続き、フランスで2番目に人気のあるエキゾチックフルーツです。

フランス本土では栽培されていませんが、レユニオン島やグアドループといったフランス海外県から高品質なマンゴーが4月〜7月頃、そしてクリスマスの12月に届きます。また、ブラジルやアフリカなど産地を変えて輸入されるため、一年中楽しめるのも魅力。

フランスで最もポピュラーな品種のひとつがケント種です。筋が少なく、とろけるような食感が特徴です。

マンゴーは店頭では硬いままで並んでいることが多いです。美味しいマンゴーを見分けるコツは、香りと触感。鼻を近づけたときに甘い香りが漂い、指で優しく押したときに少し弾力を感じるくらいのものがおすすめです。

パティスリーでは、パッションフルーツと合わせたExotique(エキゾティック)フレーバーが王道です。ムースやソルベ、マカロンのフィリングとして、その華やかな香りはフランスのパティスリー界に欠かせない存在となっています。レストランのデザートとして、細かく刻んでミントやライムと和えたマンゴーのタルタル(Tartare de mangue)もよく登場します。

夏が旬の果物:6・7・8月

6月に入ると気温がぐんぐんと上がり、フランスには力強い太陽の日差しが降り注ぎます。一年で最も過ごしやすく、人々の気分も最高潮に高まる季節です。

そのエネルギーはマルシェにも溢れ、驚くほど華やかで力強い色の果物が並びはじめます。可憐なフランボワーズ、香る桃、宝石のようなさくらんぼ、そして、夏の主役であるメロンやスイカまで、まさに主役級のフルーツが勢揃いする華やかな季節のスタートです。

Abricot(アブリコ/アプリコット)

  • abricot アプリコット、杏
  • abricot アプリコット、杏
  • アプリコット abricot

5月中旬から8月中旬にかけて旬を迎えるアプリコットは、フランスの夏を代表するフルーツのひとつ。そのまま生で味わうのはもちろん、コンポートやジャム、そしてタルト(Tarte aux abricots)の具材にして焼き上がりの甘酸っぱい香りを楽しむのも夏の定番です。

主な産地はローヌ=アルプ地方で、約7000ヘクタールにも及ぶ広大な果樹園が広がっています。中でもベルジュロン(Bergeron)という品種は、赤みがかった黄橙色の皮が特徴で、香りが高くフランス人に愛されています。

Cerise(スリーズ/さくらんぼ)

さくらんぼのクラフティ(Clafoutis)
さくらんぼのクラフティ(Clafoutis)

5〜7月の夏の時期が旬のさくらんぼ、フランスでは赤い果実のフルーツ(fruits rouges)のひとつです。夏本番の象徴とも言えるフルーツです。

フランスでは中世時代にさくらんぼが人気を博しました。ルイ15世はこの果物をこよなく愛し、さくらんぼの発展を奨励しました。

フランスでは年間50 000トンのさくらんぼが生産されており、主に、プロヴァンス地方やローヌ=アルプ地方で全体の7割が生産されています。

さくらんぼには数多くの品種がありますが、一般的にはギニュ(guignes)とビガロー(bigarreaux)に分けられます。ギニュは色鮮やかな果汁がありキルシュ(さくらんぼのリキュール)やコンポートやジャムなどの製造用に用いられます。ビガローは甘くて果肉がかたく生食用で、タルトやクラフティとして用います。

Groseille(グロゼイユ/スグリ)

groseille グロゼイユ、赤スグリ、スグリの実
マルシェではグロゼイユはパック入りで売られています

夏のマルシェで、まるで小さな宝石のようにキラキラと輝く赤い実。6月から9月頃、房のまま売られている姿はフランスの夏の風物詩です。

一粒食べるとキュッとするような強い酸味があり、ケーキやタルトの飾り、ジャムやシロップ(Grennadine)の原料として使われます。特に、ロレーヌ地方のバール=ル=デュック(Bar-le-Duc)で作られるジャムは「世界一の贅沢」と言われます。ガチョウの羽根を使って一粒ずつ丁寧に種を取り除く、気の遠くなるような手作業で作られる逸品です。

また、大粒で毛羽立ちのあるセイヨウスグリ(Groseille à maquereau)はその名の通り鯖(Maquereau)料理のソースに使われるため名付けられました。

カシス(Cassis)はグロゼイユの仲間です。

Pêche(ペーシュ/桃)

暑い夏を象徴するフルーツ、桃。6月から9月に旬を迎え、南フランス(ランドック=ルシヨン地方)の太陽をたっぷり浴びたジューシーな果実がマルシェを席巻します。

Pêche(ペーシュ/桃)
桃はフランスで5番目に消費されている人気者です。

日本の桃に近い白桃(Pêche blanche)と、コクがあり加熱にも向く黄桃(Pêche jaune)があります。

桃といえば、ペーシュメルバ(pêche Melba)ですね。バニラアイス、桃のコンポート、グロゼイユのソースをかけたこのデザートは、フランス料理の父エスコフィエが考案した傑作です。

夏のマルシェを占領している桃にはさまざまな種類があります。数ある中から代表的な桃を紹介します。

晩夏を彩る巨星 ペーシュ・ド・ヴィーニュ(Pêche de vigne)

「葡萄畑の桃」を意味するペーシュ・ド・ヴィーニュは、かつてブドウ栽培農家がぶどうを襲う病気をいち早く察知するために、ぶどうよりも先に発症する桃の木を畑の端に植えたことが名前の由来となっています。

晩生品種で9月と10月の初秋にマルシェで見かけることができる品種で、主にリヨン地方とローヌ渓谷の丘陵地帯で栽培されています。外見はくすんだ赤紫色で、果肉はぶどうを連想させる濃い赤紫色をしていて、独特な渋味ととろけるような柔らかな食感です。

最近の人気者 ネクタリン(Nectarine)

桃の表皮は産毛がありザラザラしていますが、ネクタリンは皮が滑らかで艶があります。果肉は白と黄色があり、桃よりも少し硬めですが、深い風味が特徴です。種はすぐに剥がれやすいです。

最近では、産毛がなく食べやすいことから、人気が出てきているそうです。

産毛のないつるつる ブリュニョン(Brugnon)

ブリュニョンもネクタリンと同様に皮がツルツルとして光沢があります。果肉は白色か黄色をしており、少し硬めで濃厚な風味があります。ネクタリンと似ていますが、種が剥がれにくいところが異なっています。

日本の桃にそっくり ペーシュプラット(Pêche plate)

フランスで「ドーナツピーチ」とも呼ばれる蟠桃。ぺちゃんこに平たくなった桃はその独特な形が特徴です。果肉がぎゅっと詰まった黄色く甘い果肉は生で食べても、料理に加えても美味しくいただけます。

蟠桃は日本の桃に食感と風味がとても似ていて、フランス在住日本人にとっても懐かしい味でもあるのです。

蟠桃、平たい桃(pêche plate)
ペタンコな蟠桃(pêche plate)

Framboise(フランボワーズ/ラズベリー)夏の女王

フランスの夏のパティスリーを最も華やかに彩る夏の女王、フランボワーズ。5月から10月にかけて、宝石箱のような小さなバックに詰めて売られています。

フランスではオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏で主に生産されています。現在でもフランスの山では野生のブランボワーズを見かけることがあります。

  • フランボワーズといちごのタルト(Tarte aux framboises et fraises)
  • Framboise(フランボワーズ/ラズベリー)

フランボワーズはもともと白い果実でした。ギリシャ神話の王女アイーダが指を刺した血で赤く染まった…という伝説が残っています。

フランボワーズは驚くほど繊細で、水に濡らすとすぐに風味が落ちてしまうため、フランスでは洗わずにそのまま楽しみます。(パティスリーでも洗いません)収穫後は果物のゲル化が急速に低下するため、すぐに調理しましょう。

そのまま頬張るのはもちろん、タルト・オ・フランボワーズ(tarte aux framboises)をはじめ、赤い果実のタルト(Tarte aux fruits rouges)など夏のデザートには欠かせません。また、鮮やかな発色を活かしたソース(クーリ)やソルベは、どんなデザートも一瞬で格上げしてくれます。濃厚なショコラとの組み合わせはフランス人が最も愛するマリアージュのひとつです。

Myrtille(ミルティーユ/ブルーベリー)

6月から9月、フランスの山岳地帯に夏の訪れを告げるのがミルティーユです。

フランスではヴォージュ地方やサヴォワ地方などの山に自生する野生のミルティーユが珍重されます。栽培ものよりも小粒ですが、口に入れた瞬間に広がる野生の香りと、指が染まるほどの濃い紫色はまさに夏の恵みといえます。

目に良いことでも知られ、大戦中のパイロットは視力維持のためにジャムを愛用していたという逸話も有名です。ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」が注目されるきっかけとなりました。

楽しみかたは幅広く、ほろほろ鳥といった肉料理の甘酸っぱいソースとしても絶品。フランス東部のヴォージュ山脈(Vosges)の名物といえば、果実がこぼれんばかりにのったタルト・オ・ミルティーユ(Tarte aux myrtilles)。そのほか、そのまま食べたり、ヨーグルトに混ぜたり、ジャムやソルベに加工したりとぴったりの万能フルーツです。スコーンやマフィンなどの焼き菓子に入れると、果汁が弾けて生地が紫色に染まるのも魅力のひとつです。

タルト・オ・ミルティーユ(Tarte aux myrtilles)
甘く煮たブルーベリーをたっぷりのせたタルト・オ・ミルティーユ(Tarte aux myrtilles)

Melon(ムロン/メロン)

フランスの夏の食卓に、太陽の香りを届けてくれるメロン。6月から9月、マルシェにはオレンジ色の果肉の詰まった小ぶりなメロンが山積みになります。これをシャラント・メロン(Melon charentais)といい、産地を指すのではなく、果肉がオレンジ色のタイプをそう呼び、フランスのメロンの代名詞となっています。

選ぶときはずっしりと重みがあり、茎の付け根にひび割れが入っているものが糖度がピークに達している証拠です。
メロンはデザートとしてはもちろんですが、フランスでは前菜として大活躍します。半分に切って種を除いた窪みにポルト酒を注いで味わったり、甘いメロンに塩気のある生ハムを合わせたムロン・オ・ジャンボン(Melon au jambon)は最高のアペロです。

また、プロヴァンス地方のカヴァイヨン(Cavaillon)産のメロンは、その香りの高さからブランド品として有名。エクス・アン・プロヴァンスの名物菓子カリソン(Calisson d’Aix)に欠かせないメロンコンフィ(砂糖漬け)の原料としても重宝されています。

Pastèque(パステック/スイカ)

夏のバカンス期間、フランスのマルシェで存在感を放っているのがスイカ。フランスではラグビーボール型や冷蔵庫に入れやすい小ぶりなサイズも登場しています。

南仏産だけでなく、フランス領ギアナなどの海外県から届く太陽の恵みです。シュガーベイビー(Sugar Baby)などの品種が有名で、その名の通り、喉の渇きを癒やすたっぷりの果汁と優しい甘味が特徴です。

デザートとして楽しむのはもちろん、フランスではフェタチーズやオリーブ、ミントと合わせた前菜サラダにするのも夏のトレンド。また、プロヴァンス地方などでは、専用の白い果肉のスイカを使ったジャム(Confiture de pastèques)という珍しい特産品にも出会えます。

Mûre(ミュール/ブラックベリー)

  • 野生のブラックベリー
  • mûre ブラックベリー、桑の実
  • mûre ブラックベリー、桑の実

夏の終わり、8月から10月にかけてフランスの田舎道を歩くと、トゲのある茂みに黒く輝く小さな実を見つけることができます。それが野生のブラックベリー「ミュール」です。

実は、フランス語で « Mûre » と呼ばれるものには2種類あります。ひとつは野生のミュール(Mûre sauvage)で、茨の道に生える「ブラックベリー」で、マルシェなどにパックに入って売られているものです。(この項目で紹介しているのはこちらに当たります)ふたつめは桑の木の実(Mûrier)で、見た目はブラックベリーに似ていますが、実から芯が抜けて中が空洞になっており、市場ではほとんど流通していません。

野生のブラックベリーを摘むときは野生動物の通り道を避けるために、胸の高さより上にある実を摘むのが鉄則です。
古代ギリシャで「タイタンの血」と呼ばれたこの果実は、栽培種よりも野生のものが特に親しまれています。小粒ながら、キュッとした酸味と野生の力強い香りが特徴です。

デザートでは、他のベリー類と合わせた赤い果実のタルト(Tarte aux fruits rouges)がパティスリーを彩ります。名門ブーティエ社(Boudier)のリキュール、クレーム・ド・ミュール(Crème de mûre)を白ワインで割ったキール(Kir)も人気で、甘酸っぱい大人なカクテルになります。

Prune(プリュヌ/プラム)

夏の終わりを告げる季節の風物詩といえば、プラム。品種によって熟す時期が異なり、7月から10月に旬を迎えます。
爽やかな生食はもちろん、タルトやクラフティ、コンポート、そして香り高い蒸留酒まで、プラムはフランスの夏を締めくくる、最高のご褒美です。

古代エジプトでは墓の中にプラムが入っていたとの記録も残っているほど古い果物です。フランスでは中世時代と古くからプラムは普及しており、生食やタルトやフラン、ジャムを作って楽しまれていました。

プラムを乾燥させたものがプルーン(Pruneau)で、特に南西部アジャン(Agen)産は世界的にも有名です。

この古くから愛されるこの果実には、歴史とロマンが詰まっています。そのフランスの特別な品種を紹介します。

良き王妃なレーヌクロード(Reines-claudes)

レーヌクロード reine-claude
黄緑色をしたレーヌ・クロード(Reine-claude)

7月から10月に旬を迎えるレーヌ・クロードという名前のプラムは、「良き王妃」とも呼ばれ、フランソワ1世の妻であるクロード・ド・フランス(Claude de France)に由来しています。

黄緑色の外見と果実からは想像できないほど、濃厚な甘みが特徴。そのギャップが魅力です。ジャムやコンポート、クーリ、リキュールなどに最適です。レーヌ・クロードを詰めたクラフティも夏らしいデザートです。

刹那的なクエッチ(Quetsches)

8月下旬から10月にかけてのわずかな期間だけしか生産されないクエッチ。アルザスの初秋を象徴するプラムです。細長い形状、繊細な白い粉に覆われた紫がかった青色の皮、そして甘みとほのかな酸味のある黄金色の果肉が特徴です。

十字軍が遠征先の中東から持ち帰りフランスに伝わりました。

最も有名なのはとろけるような食感と独特の香りで高く評価されているアルザス産のクエッチです。アルザスで有名なクエッチのタルト(Tarte aux quetsches)は薄い生地に熟したクエッチとのハーモニーが最高です。また、アルザス=ロレーヌ地方ではクエッチで作る蒸留酒も有名で、夏の涼しい夜に食後酒としていただくと体がほんのりと温かくなります。

黄金色なミラベル(Mirabelle)

ミラベル mirabelle
黄金色をした食べ頃のミラベル(Mirabelle)

「ロレーヌの黄金」とも呼ばれるミラベル。8月中旬からわずか6週間しか出回らず希少なため、マルシェで見かけたらすぐに手に入れましょう。果肉と皮は黄色がかったオレンジ色で、甘味が強く、果汁も豊富です。

特にロレーヌ地方で採れるミラベルは非常に有名で、小さくて黄金色で甘く、PGI(地理的表示保護)の認証も受けています。

15世紀にミラベルプラムをフランスに持ち帰ったのは、アンジュー家のルネ王(René d’Anjou)でした。たちまちメッツ地方がその発祥地となり、1762年にはフランス学士院によって認められるほどになりました。

生食はもちろんですが、この時期に一年分のミラベルジャムを仕込むのも楽しみです。ロレーヌ地方で作られるミラベルを使った蒸留酒(Mirabelle de Lorraine)も香り高い評価を受けています。

Poire(ポワール/洋梨)

芳醇な香りととろける食感が魅力の洋梨。夏は爽やかなウィリアム(Williams)、冬はコンフェランス(Conférence)など、品種を変えて一年中出回っています。ちなみに、ウィリアムにはボン・クレティアン・ウィリアム(Bon Chrétien Williams)という貴族のような優雅な本名があります。

フランスではプロヴァンス地方、ロワール渓谷、そしてフランス北部で洋梨生産量の50%を占めており、残りは輸入に頼っています。

クレームダマンドと一緒に焼き込んだタルト・ブルダルー(Tarte Bourdalou)、赤ワインで煮込んだポワール・オ・ヴァン・ルージュ(Poire au vin rouge)はフランスの食卓に欠かせない伝統のパティスリー。洋梨のシロップ煮にチョコソースをかけたポワール・ベル・エレーヌ(Poire Bell Hèlène)もビストロでは定番です。また、ウィリアム種から作られる蒸留酒はディジェスティフ(食後酒)として長く愛されています。

*洋梨のフランスでの旬は夏だけではなく、冬にも最盛期を迎えます。

秋が旬の果物:9・10・11月

8月の終わり、朝晩の風にふと涼しさを感じるようになると、フランスの街はすっかり秋の色を帯びてきます。秋はまさに「実りの秋」。

この時期のマルシェを彩るのは、夏のような華やかさというよりも、内側に甘みを蓄えた、深く芳醇な味わいのフルーツたちです。夏の終わりを告げるミラベルのようなプラム類から始まり、やがて主役のぶどうが最盛期を迎えます。

Cassis(カシス/カシス)香りの王様

8月の夏の終わり、ごく短い期間だけマルシェに姿を現すのがカシスです。

フランスでは18世紀頃から、カシスは万能薬として重宝されてきました。当時は発熱や頭痛、寄生虫の駆除など、あらゆる病に効果があると信じられていたのです。真っ黒に光り輝く小さな一粒一粒を見ていると、そんな神秘的な力があるという説にも納得してしまいます。

この「奇跡の果実」という評判がきっかけとなり、ブルゴーニュ地方では本格的な栽培が始まりました。今でもブルゴーニュはフランス最大の産地です。1841年、ディジョンのルジェ・ラグート社(LEJAY LAGOUTE)によって考案された甘いリキュール、クレーム・ド・カシス(Crème de Cassis)は、白ワインと合わせるカクテル「キール(Kir)」として、フランスの食前酒には欠かせない存在となりました。

カシスはジャムやソルベなどに加工されることも多く、その魅力はなんといっても、濃い赤紫色がもたらす芳醇な香りと、キュッとした力強い酸味にあります。フランスでは赤い果実(Fruits rouges)と総称されるベリー類の一種として、タルトやムースの彩りと味わいのアクセントに欠かせないフルーツです。

Figue(フィグ/いちじく)

秋の気配が近づくと、マルシェにいちじくが並び始めます。夏の間に太陽の光をたっぷりと浴びて育ち、8月から10月に食べごろを迎えます。いちじくは、イチジクバチという小さなハチによってのみ受粉が行われるという、非常にユニークな生態をもつ果物でもあります。

フランス国内では、南仏のヴァール県(Var)で生産量の半分以上を占めています。なかでも「いちじくの都」と呼ばれるソリエス=ポン(Solliès-Pont)産のものは、厚めの皮の中に赤紫色の果肉が詰まり、非常に甘く風味が豊かで、フランスで最も愛されている品種のひとつです。

また、イチジクを愛した王様といえばルイ14世が有名です。彼はヴェルサイユ宮殿の「王の菜園(Potager du Roi)」に、700本以上、数十種類ものイチジクの木を植えさせたといわれています。

フランスで見かけるイチジクは、大きく分けて2つのタイプがあります。

白いイチジク(Figue blanche)

淡い緑色の皮に、赤い果肉

色付きイチジク(figues colorées)

赤や紫、赤褐色の皮で、淡い色の果肉

楽しみ方は多彩です。サラダに加えて生食するのはもちろん、タルト(Tarte aux figues)やグラタンにしたり、ワイン煮にするなど、火を通しても美味しくいただけます。また、フランス料理ではフォワグラの付け合わせとしても相性抜群です。

乾燥させたドライイチジクは、プロヴァンス地方のクリスマスの伝統行事、13種類のデザート(Treize desserts)の一つとしても欠かせない存在です。

Raisin(レザン/ぶどう)

8月から10月に旬を迎えるぶどうは世界で最も古い果物のひとつ。その歴史は先史時代まで遡り、古代ギリシャやローマ時代にはすでにワイン造りが盛んに行われていました。

フランスにおいて、ぶどうは長らくワインの原料としての存在でしたが、16世紀に転換期を迎えます。大のぶどう好きだったフランソワ1世が、フォンテーヌブロー宮殿の近郊に食用ぶどうを植えさせたことで、宮廷でデザートとして楽しまれるようになりました。さらに、太陽王ルイ14世も南仏産のぶどうをこよなく愛し、わざわざ木箱に詰めさせ馬でヴェルサイユまで運ばせたという逸話も残っています。

現在、フランスのマルシェで出回っているぶどうは、大きく分けて3つのタイプがあります。

白ぶどう(Raisin blanc)

フランスで最も有名な食用白ぶどうといえばシャスラ種(Chasselas)です。太陽を浴びた美しい黄金色の房と、小ぶりで丸い実が特徴。その上品な甘さは、チーズやフォアグラ、さらには熟成肉との相性も抜群です。

黒ぶどう(Raisin noir)

黒ぶどうには2品種あります。

ミュスカ・ド・アンブール(Muscat de Hambourg)は黒に近い青紫色の実で、独特のマスカット香と甘い果肉を持ちます。もうひとつはアルフォンス・ラヴァレ(Alphonse Lavallée)で、丸くてふっくらとして、タルトやクラフティといった焼き菓子にもよく使われます。

黒ぶどう(Raisin noir)
フランスの田舎町で庭先に実っているぶどう

ピンクぶどう(Raisin rosé)

世界的に広く栽培されているレッドグローブ(Red Globe)が特に有名です。大きく引き締まった果実は、ピンクから紫に近い色合いで、しっかりとした甘みが楽しめます。

フランスでは生食はもちろん、ジュースやジャム、そしてヴェルジュ(Verjus)と呼ばれる未熟なぶどうを搾った酸味の強い果汁を、お酢の代わりとして料理に使う伝統もあります。

Kaki(カキ/柿)

秋が深まるころ、マルシェに静かに姿を現すのが柿です。フランスでもそのまま « kaki » と呼ばれており、その名は日本の「柿」に由来しています。

柿がヨーロッパに初めて持ち込まれたのは、18世紀後半のこと。その後、19世紀後半のジャポニズム(日本趣味)や日本版画の流行に後押しされるようにして、パリでも柿が知られるようになりました。

現在、フランス国内では主に温暖な南仏エリアで栽培されており、、10月から1月にかけての寒い時期に旬を迎えます。

日本の富有柿のように硬いまま食べられる甘柿 « Kaki Pomme »(カキ・ポム)と、熟してドロドロにしてからスプーンで食べる « Kaki Ribera »(カキ・リベラ)などの渋柿系の2種類がよく売られています。

食べ方もフランス流にアレンジされています。日本のように皮を剥いてなまで食べるのはもちろん、タルト(Tarte aux kakis)にしたり、りんごと合わせてコンポートにしたりと、火を通したデザートとしても人気です。また、その上品な甘さは料理との相性もよく、フォアグラや鴨胸肉(Magret de canard)のローストの付け合わせとしても非常に重宝されています。

Pomme(ポム/りんご)

フランスでもっとも消費されている国民的フルーツ。生産量はヨーロッパで第3位を誇ります。フランスでは南西部、ロワール渓谷、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域に栽培が集中しています。

驚くべきはその種類の多さ!一般に出回っているりんごは50ほどの品種があり、早生品種は7月から、晩生品種は11月にかけて収穫されます。一年を通して食べることができますが、フランスでの収穫は8月末から10月の秋に集中しています。

そのままかじるのやジュースにするのはもちろん、ノルマンディー地方の蒸留酒カルヴァドス(Calvados)や、カラメルが香ばしいタルトタタン(Tarte TATIN)など、フランスの豊かな地方色を感じさせてくれる果物です。

スーパーにはカラフルなりんごが山積みされています。数ある中から、特に人気の高い品種をご紹介します。

りんご界のエリート ゴールデン(Golden)

ゴールデンはフランスで最も人気があり、りんごで唯一IGP(地理的表示保護)認証も受けている品種でもあります。黄色に僅かに緑がかった色の皮で、さっぱりとして穏やかな甘さがあります。なまで食べるのはもちろん、火を通したり、タルトにしたりするのに適しています。

ツヤツヤ真っ赤なガラ(Gala)

ゴールデンに次いで人気なのはガラ。ツヤのある鮮やかな赤色の皮で、果肉は柔らかく、爽やかな甘さで、果汁がたっぷりと含まれています。同様に生で食べたり、焼いたり、タルトに詰めたりと万能に使えます。

緑色の青りんご グラニースミス(Granny Smith)

3番目に人気なのは爽快なりんごの代表グラニースミス。鮮やかな緑色の皮をして、少し強めの酸味がありとても爽やかな甘酸っぱい風味、しっかりとした歯応えのある果肉が特徴です。サラダに入れたりと、生で食べるのがおすすめ。

りんごっぽくない外見 レネット・グリーズ・デュ・カナダ(Reinette grise du Canada)

長い名前ですが、古くからフランスにある品種です。やや扁平な形で、表面はざらざらしていてくすんだ茶緑色をしており、りんごには見えない外見です。キレのある爽やかさがあり、複雑で芳醇な香りが特徴です。このりんごも生で食べるのもより、焼いて食べるのもよしです。

日本でおなじみ フジ(Fuji)

その名の通りフジは日本原産のりんごで、フランスでも人気のある品種です。果実は他のりんごに比べて大きく丸い形をして、ピンク色に薄い緑色の皮が特徴です。爽やかで甘く、とても果汁が多くジューシー。そのまま生でかじったり、絞ったジュースにするのがおすすめです。

そのほかにもジョナゴールド(Jonagold)エルスター(Elstar)、ジャズ(Jazz)、タンタシオン(Tentation®)、ピンクレディ(Pink Lady®)、アイダレッド(Idared)、レッドデリシャス(Delicious rouge)などの品種があります。

Coing(コワン/コワン)

秋も深まる10月頃、マルシェの片隅で芳醇な香りを放っているのがコワン、日本では「マルメロ」と呼ばれる果物です。日本ではあまり馴染みがありませんが、フランスでは古くから親しまれてきました。

見た目は大きな洋梨のようにゴツゴツとしており、表面は産毛のような細かい毛で覆われています。その歴史は非常に古く、なんと6000年も前から栽培されていたと言われています。フランスへは15世紀頃に南仏へと広まり、その独特な香りのよさから瞬く間に人気を博しました。

注意したいのはコワンは生では食べられないということです。果肉は非常に硬く、石細胞が多いためジャリジャリとしています。また、生のままでは渋み成分のタンニンが多く、消化にもあまり良くありません。

しかし、コワンに豊富に含まれている天然ペクチンのため、煮詰めると美しい琥珀色(または赤みのある色)に変わり、とろりとした食感になります。

フランスでは、ゼリー(Gelée de coing)やジャムにして楽しみます。あるいは、プロヴァンスの13種類のデザートのひとつでもあるパット・ド・コワン(Pâte de coing)にも加工されます。

また、ジビエや鴨肉などの肉料理の付け合わせとして、甘酸っぱく煮て、添えることもあります。

冬が旬の果物:12・1・2月

11月に入ると、フランスは一気に冷え込みが厳しくなり、日没も早まって少し寂しい季節が訪れます。そんな寒さの中でも、私たちの心と体に元気を与えてくれるのが、冬のビタミンたっぷりのフルーツたちです。

この時期、マルシェの主役は最盛期を迎える柑橘類へと移り変わります。また、南国から届く色鮮やかなエキゾチックフルーツも加わり、食卓にパッと明るい華やかさを添えてくれます。

Pamplemousse(パンプルムッス/グレープフルーツ)

10月から5月に旬を迎え、冬のビタミン摂取には欠かせない爽やかな風味のグレープフルーツ。フロリダやイスラエル産のものが冬のマルシェを賑わせます。

実はフランス語で « Pamplemousse パンプルムッス » と呼ばれているものの多くは、植物学的には « Pomélo ポメロ » だったりしますが、一般的には区別せずにそう呼ばれています。つまり、フランスでポメロとパンプルムッスは「グレープフルーツ」と同じ果物のことです。

半分に切ってスプーンで食べたり、海老やアボカドと和えたサラダ、カクテル・ド・クルヴェット(Cocktail de crevette)にするのがフランス流です。

Pomélo(ポメロ/ポメロ)

ポメロは特にコルシカ島産(Pomélo de Corse)が有名。IGP(地理的表示保護)認証も受けており、フランス産ならではの品質が保証されています。11月から5月までの寒い時期に旬を迎えます。

ピンクがかった果肉で、とてもジューシーで皮が薄く、苦味が穏やかなのが特徴。冬のビタミン補給にぴったりで、「メロンアップル」として愛されています。

グレープフルーツとポメロの違いは何?

厳密にはポメロ(Pomélo)は私たちが知る「グレープフルーツ」のことで、パンプルムッス(Pamplemousse)はさらに巨大で皮の厚い文旦ぶんたんの仲間を指します。

しかし、フランスでは、どちらも「パンプルムッス」と呼ぶのが一般的。最近では特にフランス国内(コルシカ島)で生産される高品質なものを「ポメロ」とよんで区別することがあります。

なので、フランスのマルシェでパンプルムッスを見かけたら「グレープフルーツ」で、ポメロを見かけたら「グレープフルーツ」もしくはコルシカ産の「ポメロ」と考えてください。

Carambole(カランボル/スターフルーツ)

東南アジア原産のエキゾチックなフルーツ。スターフルーツは長さ約15センチと細長く、黄色い皮と半透明で酸味のある果肉をもち、スライスすると断面が星形になるのが特徴です。

11月から1月までの冬の時期が旬ですが、フランスではほとんど生産されておらず、店頭に並ぶのは輸入品が中心です。フランスの高級なマルシェやボン・マルシェなどのデパートではフランス産としてレユニオン島などの海外県から届くこともあります。

フランスでは特に12月のクリスマスの果物というイメージがあり、ビュッシュドノエル(Bûche de noël)や料理の飾りとして、この星形を多く用います。味を楽しむというよりも、見た目の華やかさを加えるという役割が強いようです。

Orange(オランジュ/オレンジ)

オレンジはりんごに次いでフランスで2番目に多く消費されている、冬のビタミンの救世主!

フランスでは食べる用(à bouche)と絞る用(à jus)が明確に分かれて売られています。絞りたてのジュースはカフェでも定番のオランジュ・プレッセ(Orange pressée)として親しまれています。

フランスではコルシカ島とピレネー=オリアンタル県で少量生産されていますが、ほとんどがスペインや北アフリカからの輸入品で、冬の11月から5月に旬を迎えます。

フランス菓子に欠かせないのがオレンジフラワーウォーター(Eau de fleur d’oranger)やビターオレンジのリキュールであるグランマルニエ(Grand Marnier)やキュラソー(Curaçao)。これらを使ったスフレやクレープ、そして冬のショコラティエに並ぶオランジェット(Orangette)、鴨や豚料理のオレンジソースなど、オレンジはフランスの食文化のあらゆる場面に登場します。

ちなみに、ショコラ(Chocolat)というオレンジの希少な品種もあり、皮がチョコレートの茶色がかった色をしていて、甘くて複雑な香りからその名前がつけられました。まれに、マルシェに並んでいるのを見かけることがあります。

Orange sanguine(オランジュ サンギン/ブラッドオレンジ)

12月から4月頃にだけ現れる、ドラマチックな赤色の果肉をもつ、オレンジの品種のひとつであるブラッドオレンジ。

特にマルタ産やイタリア産が有名で、12月から4月にかけて出回ります。その色はアントシアニンによるもので、ふつうのオレンジよりもベリーに近いような深みのある酸味と香りが特徴で、生食はもちろん、贅沢なジュースとしても楽しめます。ソルベのフレーバーとしてもよく見られるようになりました。

Clémentine(クレモンティーヌ/クレモンティン)

11月から3月の冬の時期、フランスの食卓に欠かせないのがクレモンティンです。日本のみかん(温州みかん)に近い柑橘類です。19世紀末、アルジェリアのクレモン神父が偶然発見したことからその名がつきました。

特にコルシカ島産(Clementine de Corse)は欧州の品質認証(IGP)を受けたブランド品です。マルシェやスーパーでは新鮮な証である緑の葉が付いたまま売られていて、フランスの冬の風物詩です。家庭での冬の食卓にはカゴに山盛りのクレモンティンが置いてあるのも冬を彩る定番の風景です。種がなく皮が剥きやすいため、子供から大人まで冬のビタミン補給としてそのまま食べられます。

クレモンティンの生産量の多いのは南仏のオート=コルス県とアルプ=マリティーム県の二つの地域です。フランスのクレモンティンは酸味と甘味のバランスがちょうど良く、日本のみかんとは違ったおいしさがあります。

Mandarine(マンダリン/マンダリン)

ミカン科に属する小さな柑橘類マンダリンは、通常は冬に収穫され、12月から3月にかけて旬を迎えます。マンダリンにはいくつかの品種があり、マンダリンとスイートオレンジの交配種がクレモンティンです。

フランスでは僅かに栽培されているものもありますが、市場に並ぶマンダリンの多くはスペインやモロッコなど地中海沿岸諸国からの輸入品であることが多いです。

皮は非常に香りが高く、一般的に皮をむいて生で食べますが、ジュースにしたり、サラダ、デザート、メイン料理に使われます。フルーツサラダ(Salade de fruit)や冬のフルーツタルトにも使われます。その強い香りを活かして、リキュールやエッセンシャルオイルなどお菓子の香り付けとして重宝されています。フランスではマンダリンのリキュール(Mandarine Napoléon)が有名です。

クレモンティンとマンダリンの違いはなに?

クレモンティンはマンダリンとスイートオレンジの交配種です。マンダリンはクレモンティンよりやや大きく、種が多く含まれており、皮は少し厚めですが、その分香りの強さは格別です。

消費量はマンダリンよりもクレモンティンが多くなってきています。クレモンティンは皮が薄くて剥きやすく、種がないため食べやすいという点が消費者に受け入れられているようです。フランス国内でもより需要の高いクレモンティんでの植え替えを長年進めてきました。

Ananas(アナナス/パイナップル)

パイナップルは一年中マルシェで見かけることのできる果物で、旬は10月から4月までです。フランス国内では海外県や海外地域で生産されており、南米やアフリカ諸国で栽培されています。

フランスではエキゾチックフルーツの中に含まれていて、インドや中華料理レストランのデザートとして提供されることがあります。

Fruit de la passion(フリュイ ド ラ パッション/パッションフルーツ)

フランスのデザート界に欠かせないのが、このエキゾチックな香り。

フランス語の « passion » は「情熱」という意味ですが、実は花の形がキリストの受難(la Passion)の道具ににていたことから名付けられたという歴史があります。フランスではパッションフルーツのことをグルナディーユ(Grenadille)と呼ぶこともあります。

硬い皮を持つ熱帯果実で、果肉はオレンジ色でゼリー状、中にカリッとした黒い種が入っています。甘みと酸味があり、独特の風味です。食物繊維やポリフェノール、カリウムやビタミンなども豊富に含まれているパワーフードといえます。パッションフルーツには濃い紫色から黄橙色まで約20種類もの品種があり、フランスでは紫色のものが一般的です。

残念ながらパッションフルーツはフランス本土では栽培されていません。市場に出回っているのは主にブラジルやコロンビアなどの南米からの輸入、あるいはレユニオン島やフランス領ギアナといった海外県から運ばれてくるものです。フランスでは12月から5月にかけての寒い時期にトロピカルな香りを提供してくれます。

パッションフルーツは生で食することも多く、皮に少し凸凹が出てきたら食べごろです。果実を半分に切って、スプーンで果肉をすくって食べます。パッションフルーツは特にマンゴーとの相性がぴったりで、パティスリーなどでExotique(エキゾティック)というフレーバー名で呼ばれます。ムースやマカロン、ショコラのフィリングにされることも多く、その華やかな風味はフランスのパティスリーで絶大な人気を誇ります。

Kiwi(キウィ/キウイ)

ビタミンCが豊富で、フランスの冬の健康維持に欠かせないキウイ。定番の緑色のキウイ(Kiwi vert)は爽やかな酸味と食物繊維の多さが魅力です。

最近では、甘味が強く酸味も少ない黄色のキウイ(Kiwi jaune / Gold)も大人気。皮に毛がなくツルッとしているのが特徴で、緑色よりも少し値段が高めです。

さらに、近年フランス南西部で栽培が始まった赤いキウイ(Kiwi rouge)は10月〜12月頃にしか出回らない希少な品種。中心部が赤く、まるでベリーのようなエキゾチックな甘味が楽しめます。

フランスでは一年中キウイを見かけます。夏から初秋にかけては主にニュージーランド産、冬から春先まではヨーロッパ産のキウイが主力です。キウイといえばニュージーランド産と思いがちですが、実はフランスはヨーロッパでも有数のキウイ生産国。特にフランス産のキウイは11月から5月にかけて冬のマルシェの定番として並びます。

フランスで最も有名なキウイの産地といえば、南西部のアドゥール(Adour)地方です。ここのキウイはフランスの高品質の証であるラベル・ルージュ(Label rouge)や欧州認証のIGPを唯一取得しているエリートなキウイです。

キウイはそのまま半分に切ってスプーンで食べるのが一般的ですが、フルーツサラダ(Salade de fruits)やフルーツタルトのデコレーションとしての役割も大きいです。特に、グリーンキウイの緑色がデザートの彩りとして重宝されます。

Citron(シトロン/レモン)

オレンジやなどと同じミカン科に属し、爽やかな酸味とたっぷりの果汁が特徴のレモン。

レモンは年に複数回実をつけ、品種を変えながら一年中収穫されます。しかし、特に有名なマントン産などのフランス国内産の最盛期は1月から3月頃です。

フランスでレモンといえば、南仏のマントン(Menton)が有名です。マントンのレモンは皮が肉厚で香りが非常に強く、IGP(地理的表示保護)という欧州の認証も受けている高級品です。毎年2月には町がレモンやオレンジで埋め尽くされる「レモン祭り(Fête du Citron)が開催され、冬の終わりを告げる風物詩となっています。

料理では肉料理(特に鶏肉やラム肉のタジンなど)の風味づけに欠かせません。タジンでは生のレモンだけでなく、塩レモン(Citron confit au sel)が用いられます。スイーツでも、王道のタルト・オ・シトロン(Tarte au citron)から、レモン皮の砂糖漬けをチョコで包んだシトロネット(Citronette)まで、幅広く愛されている万能なフルーツです。

レモンは料理でも菓子でも万能な食材です。肉料理、特に鶏肉やラム肉、中でもタジン鍋料理によく合い、風味づけに用いられます。レモンの果汁を用いた爽やかなタルト・オ・シトロン(Tarte au citron)もフランスのパティスリーでは定番です。また、レモンの砂糖漬けで作るシトロンコンフィにチョコレートをコーティングしたシトロネット人気のコンフィズリーです。

フランスでよく使われるフルーツの総称

フランスのレシピやカフェのメニューでは、個別の名前ではなく「グループ名」で表記されることがよくあります。

赤い系 フリュイルージュ(Fruits rouges)

苺やフランボワーズ、さくらんぼなど、ベリー類の総称です。ブルーベリーやカシス、ブラックベリーは厳密には黒・紫ですが、フランスではこれらを含めてフリュイ・ルージュと呼ぶのが一般的です。

夏のパティスリーを彩るタルト・オ・フリュイ・ルージュ(Tarte aux fruits rouges)はフランスの夏の象徴。甘酸っぱい風味と鮮やかな色彩は、見ているだけで心躍ります。

タルト・オ・フリュイ・ルージュ(Tarte aux fruits rouges)
さまざまな赤い果実のタルト・オ・フリュイ・ルージュ

赤い果実は冬には冷凍やジャムとして、一年中フランスのお菓子作りに欠かせない存在です。

外国産 フリュイエキゾチック(Fruits exotiques)

ライチやパイナップル、ココナッツなどフランスで栽培されていない果物のこと、エキゾチックフルーツ。ちなみに、フランス海外県で栽培される果物も含み、熱帯・亜熱帯から届くトロピカルフルーツとは同じではありません。

そのほかにもバナナ、マンゴー、グアバ、パッションフルーツ、パパイヤ、ココナッツ、ドラゴンフルーツなどがあり、アジア原産のものはマンゴスチン、金柑、ザクロ、柿、スターフルーツ、ドリアン、ランブータンなど多彩な果物たち。

特に、フランスでは、ノエルの時期にエキゾチックフルーツで食卓を飾るという文化があります。

パティスリーで「エキゾチック」と書かれていれば、それはマンゴーとパッションフルーツの独特の甘酸っぱい組み合わせを意味することが多いです。

柑橘系 アグリュム(Agrumes)

オレンジやレモン、グレープフルーツなどの仲間。クレモンティン、マンダリン、ポメロ、ライム、柚子、金柑、ベルガモットが柑橘系のグループ。

最近のフランスでは、日本初の柚子(Yuzu)が空前の大ブーム!アイスやタルトなどのお菓子だけではなく、魚料理のソースやドレッシングの隠し味として、フランスのシェフやパティシエを虜にしています。

さらに、コンバヴァ(Combava)やシトロン・カヴィア(Citron caviar)も高級レストランやパティスリーでよく使われるようになりました。もしかしたら、新しい流行になるかもしれません。

日本由来の果物の名前

今のフランスでは日本の料理や食材が流行っているように感じます。ニュースやドキュメンタリーなどのテレビ番組や料理やお菓子の雑誌などでも特集されています。以下の果物はもうすでにスーパーマーケットやマルシェで売られています。

それまでフランスではなかった果物なので、そのまま日本名が使われていることもあります。

kaki

[カキ]柿

nashi

[ナシ]和梨

nèfle du Japon

[ネフル デュ ジャポン]ビワ

yuzu

[ユズ]柚子

果物の部位の名前

chair

女性名詞[シェール]果肉

écorce

女性名詞[エコルス]柑橘類の皮

grain

男性名詞[グラン]粒、実、種

graine

女性名詞[グレンヌ]種

jus

男性名詞[ジュ]果汁

noyau

男性名詞[ノワイヨ]桃やさくらんぼなどの核、種(果物に1個しかない種)

peau

女性名詞[ポー]皮

pédoncule

[ペドンキュル]いちごのヘタ、さくらんぼの枝

pépin

男性名詞[ペパン]果物の種(果物の中に複数ある種)

pétale

男性名詞[ペタル]花びら

pulpe

女性名詞[ピュルプ]果肉

zeste

男性名詞[ゼスト]柑橘系の皮

果物の木に関するフランス語単語

abricotier

男性名詞[アブリコティエ]アプリコットの木

bananier

男性名詞[バナニエ]バナナの木

cerisier

男性名詞[スリジエ]さくらんぼの木

citronnier

男性名詞[シトロニエ]レモンの木

dattier

男性名詞[ダティエ]ナツメヤシの木

figuier

男性名詞[フィギエ]イチジクの木

fraisier

男性名詞[フレジエ]いちごの木

framboisier

男性名詞[フランボワジエ]ラズベリーの木

grenadier

男性名詞[グルナディエ]ザクロの木

mûrier

男性名詞[ミュリエ]桑の木

oranger

男性名詞[オランジェ]オレンジの木

pêcher

男性名詞[ペシェ]桃の木

poirier

男性名詞[ポワリエ]洋梨の木

pommier

男性名詞[ポミエ]りんごの木

prunier

男性名詞[プリュニエ]プラムの木

いかがでしたか?

この記事では、フランスの四季を彩る春の果物について、フランス語の呼び方からおいしい食べ方、意外な歴史までまとめて紹介しました。

フランスのマルシェを歩けば、その時期にしか出会えないフルーツが必ず見つかります。旅行で訪れる際や、日々の食卓に彩りを添えたいときには、ぜひ本記事をガイドとして活用してみてください。

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参考にしたサイトは以下の通りです。

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