シュトーレンはドイツでクリスマスだけではなく年中親しまれているお菓子です。フランスのアルザス地方でも発展し、今ではフランス全体で見られるようになりました。

この記事ではシュトーレンがドイツのドレスデンで生まれ、発展した歴史を紐解いていきます。

目次

シュトーレンとは?

シュトーレンとはクリスマス時期に作られる伝統的なドイツのお菓子のことです。ぎゅっと詰まった生地でどっしりとした長い山形で、表面にはたっぷりと粉砂糖を振りかけています。

卵やバター、卵を加えて作るブリオッシュ生地にオレンジの皮とレモンの砂糖漬け、干しぶどう、アーモンドやヘーゼルナッツを加えて、生地の中にマジパンを詰めて焼いて作ります。シナモン、ナツメグ、カルダモン、クローブなどの香辛料とブランデーやラムで香りをつけています。

ドイツのドレスデンのシュトーレンが有名で、フランスではアルザスやロレーヌ地方で伝統的に食べられています。ドイツではクリスマス時期だけではなく1年中作られています。

昔は2kgの重さがありましたが、現在ではサイズは小さくなっており、375g・500g・750gから1kgほどで市販されています。

ほとんどのシュトーレンは数ヶ月間保存可能です。

シュトーレンの歴史 Stollen / Christstollen
パッケージ
シュトーレンの歴史 Stollen / Christstollen
アルザス地方のシュトーレン
シュトーレンの歴史 Stollen / Christstollen
中身
シュトーレンの歴史 Stollen / Christstollen
マジパン入り

シュトーレンの名前の綴り

Stollen

[ˈʃtɔllən] シュトレン / ドイツ語
Weihnachtsstollen / Strutzel / Stritzel / Stutenbrot とも呼ばれています

Christstollen

[çɾɪststɔllən] クリスストレン / フランス語
主にアルザス地方で使われています

シュトーレンの構成

分類パティスリー/ガトー
構成発酵パン生地/ブリオッシュ生地
材料酵母

牛乳

小麦粉

卵黄

砂糖

バター

アーモンド

干しぶどう

レモンの皮の砂糖漬け

オレンジの皮の砂糖漬け
パットダマンド(マジパン)

スパイス(ナツメグ、シナモン、バニラ等)

アルコール(ブランディ、ラム等)

誕生した時代・場所・人物

時代1329年以前
ドイツ
地方ザクセン州
ドレスデン
人物

ドイツでの歴史

中世時代後半の1329年、ドイツのザクセン=アンハルト州ナウムブルクで、パン職人組合(ギルド)を設立する際に提出した書類にシュトーレンに関する記述がありました。これが最も古いシュトーレンについての文献ですが、おそらくこれより以前にはシュトーレンが製造されていたことは確かなようです。

実際に、シュトーレンは異教の祭りのシンボルとして使われていました。ドイツでのキリスト教への改宗に伴い、キリスト教の象徴となりました。そのため、シュトーレンの形はおくるみに包まれた幼子イエスを表しているとされ、フランスではクリストシュトーレン(Christstollen)と呼ばれるようになりました。

16世紀初頭、ドレスデンのクリスマス市で売られていました。1560年代前半、クリスマスにはこのシュトーレンを専門に作るパン職人たちがザクセン君主に合計36リーブル1のシュトーレンを捧げていました。1730年、アウグスト2世選帝侯は誰もが分け合えるように、ドレスデンのパン職人組合に1,7トンもの巨大なシュトーレンを注文しました。巨大なシュトレンが焼けるように部屋のようなオーブンを特別に造りました。

1994年以来、待降節第二日曜日の前の土曜日にドレスデン・シュトレン・フェスティバル(Dresden Stollen Festival)が行われ、毎年数トンのシュトーレンを製造していました。

昔のシュトーレンのレシピは現在のものとは少し異なります。クリスマスの祭日に先立って、待降節(アドベント)には断食を行う習慣がありました。そのため、このシュトーレン作りにはバターの代わりに油が使われており、風味に大きな影響が出ていました。ドイツの領土ではオリーブの木が生育しておらず、油は十分な量が採れませんでした。採れる油は悪臭を放ち、良質な油は高価でした。

17世紀半ば、ザクセン選帝侯エルンストとその弟アルブレヒト3世は教皇ウルバヌス8世にこの禁令の解除を懇願しました。教皇は彼らの願いを受け入れ、油の代わりに大量のバターを使うことを許可しました。この許可は王侯にのみに限られていましたが、1691年にはフライベルク大聖堂の設立のために毎年金貨20分の1フローリンを支払うことと引き換えに、バターの使用がすべての人に認められました。ザクセン選帝侯領がプロテスタントになったとき、バターの禁止は廃止されました。

現在では、世界中でさまざまなレシピでシュトーレンが作られていますが、ドレスデン地方では115軒のパン屋と菓子屋のみが、伝統的なレシピに従ってドレスデン・クリスマス・シュトーレンを焼くことを許可されています。

シュトーレンの歴史 Stollen / Christstollen
市販のシュトーレン
シュトーレンの歴史 Stollen / Christstollen
マジパン入り

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  1. リーブルとは昔の重さの単位で、1リーブルが500gなので、36リーブルは18kgの重さです。 ↩︎
もりりん
パティシエ
フランスのパティスリーで働いでいます。フランスの大学の歴史学科で勉強してます。よろしくね
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