ガレットデロワは12月末になるとパティスリーやスーパーなど至る所で見られる季節のお菓子です。
この記事では、ガレットデロワの名前や材料、エピファニーのイベントや楽しみ方、ガレットデロワの表面の模様の意味、誕生した由来について詳しく解説しています。
ガレットデロワとは?
ガレットデロワは1月6日のエピファニーの日に食べるアーモンドクリームをはさんだパイ菓子です。中にはフェーブが入っており、紙製やプラスチックなどで作られた王冠がついています。
中身がアーモンドクリームやフランジパンヌが主流ですが、お店によっては洋梨やフランボワーズなどのフルーツを加えたり、りんごのコンポートやが入っていることもあります。
変わり種では、あんこが入っているものもあり、リヨンでは名物の赤いプラリネを使ったクリームもあります。
一般的にはクリスマスが終わった直後から店頭に並び、1月末まで見られます。スーパーマーケットではさらに早く、12月に入ると見られることも珍しくなくなりました。


ちなみに、ガレットデロワは簡単な紙袋に入っていることもあります。(形が崩れないか心配!)もちろん箱入りもあります。


王冠は通常は紙製で、ガレットデロワを1つ購入すると1つ付いてきます。パティスリーによってはプラスチック製の王冠もあり、有料の場合もあります。
リヨンにあるベルナション(Bernachon)ではフェーブは2つ入りなので、王冠も2つ付いてきます。

フランス語の名前
- Galette des Rois
-
[galɛtdeʁwa] ガレット・デ・ロワ / フランス語
「王様の円形のお菓子」という意味
ガレットとは?
円の形に平たく薄く焼いたお菓子のこと。サブレやクレープ生地などもガレットと呼びます。
ガレットデロワの構成・材料
| 分類 | パティスリー |
| 構成 | 折込パイ生地 アーモンドクリーム/フランジパンヌ |
| 材料 | 小麦粉 卵 バター 砂糖 アーモンド |
1月6日のエピファニーとは?
1月6日のキリスト教の祝日をエピファニーと言います。日本では主顕節や公現節とも呼ばれます。
聖書によると、ある夜3人の博士が東方で巨大な赤い星を見つけました。それは救世主の生まれたしるしであるという言い伝えにより、彼らはラクダに乗って星を追い続けました。すると、12日目の1月6日にベツヘルムの馬小屋の真上で星はとまりました。3人の博士はイエス・キリストの誕生にまみえ、黄金・乳香・没薬を贈りものとしてささげました。これにより主の誕生が人々に知られることになりました。

ガレットデロワの表面の模様
ガレットデロワの表面にさまざまな模様があります。ナイフの背で筋をつけるのですが、その模様にも意味があります。
ひまわり

ひまわり柄は格子模様で、ひまわりの種の部分を表しており、「栄光」という意味があります。最もシンプルなデザインで、この模様を採用している店はとても多いです。
この時期には大量のガレットデロワを作るので、できるだけシンプルな模様が採用されます。
今まで食べたガレットデロワを振り返ってみましたが、ほとんどが「ひまわり」の模様でした。もしくはひまわりから進化させた模様でした。




太陽


中心から外側に向けての曲線模様のことで、「生命力」を意味します。一般的なパティスリーで採用しています。
月桂樹
葉っぱの模様をしたもので、「勝利」を意味します。複雑な模様のため高級パティスリーでよく見かけるデザインです。
麦の穂
麦の形をした細かい線の切り込みがあり、「豊穣」を意味します。
表面のデザインはパティスリー次第ですね。ガレット・デ・ロワの表面のデザインを見ながら、選ぶのも楽しいですね。
ガレットデロワの楽しみ方
ガレットデロワの中にはフェーブが入っています。フェーブとはフランス語で「そら豆」のことで、昔は本物のそら豆でしたが、現在は陶器で作る人形やモニュメントに代わりました。また、ガレットデロワには紙製の王冠がついています。


まず、ガレットデロワを人数分に切り分けます。最も若い人がテーブルの下に隠れ、どのガレットを誰に与えるのかを指示します。中にフェーブが入っていた人が王様(王女様)になり、王冠をかぶり、みんなから祝福されます。
フランスでは1月6日だけではなく、1月中に家庭や職場や学校などのさまざまな場面でガレット・デ・ロワを食べる機会があります。だから、王様・王女様になれるチャンスは何度もあります。
ちなみに、フランス大統領官邸ではフェーブなしのガレットデロワでお祝いをする習慣があります。エリゼ宮には大統領だけで、王様はいないためだそうです。




ガレットデロワが誕生した由来
現在ではガレットデロワはエピファニーの日に食べていますが、昔はガレットデロアは宗教的な祭りとは関係がないお菓子でした。
そもそもガレットとは円形に薄く焼いた生地のことで、新石器時代には穀粉と水や乳などで溶き、熱した石の上にのせて焼いたのが始まりでした。蜂蜜などで甘味をつけて食べることもありました。
古代ローマ時代にガレットはサートゥルナーリア祭りの際に供されていました。これは豊作と繁栄の神であるサートゥルヌス神を祝う祭りのことで、ローマ暦で12月17日から12月23日まで行われていました。
祭りの間には王を決めるための選挙を行っていました。投票の方法はくじ引きで、そら豆をひいた人が王様になるという習わしがありました。
後にキリスト教が広まったとき、この習慣が主顕節でのお祝いでのお菓子にも引き継がれていきました。そら豆はキリストをあらわすことにしました。
キリスト教を普及させるために異教徒の風習にキリスト教の意味を重ね合わせていました。当時、フランスにキリスト教を普及させるのに一役買っていました。
中世時代、ガレットデロワは太陽と太陽の光のシンボルとなっていました。教会が先導してエピファニー(主顕祭)を祝うためにガレットデロアを食べていました。
11世紀にはブザンソンの教会で教会の責任者を決めるためにパンの中に硬貨を隠しました。この習慣は他の教会にも広まっていきました。その後、銀貨は小さな豆に代わりました。
13世紀に入ると、王の祭りのときにフェーブのお菓子が売られていました。そのお菓子は次第に家庭でも作られるようになっていきました。
17世紀に入ると、そら豆をキリストに見立てるという考え方が冒涜的だとして陶器の人形に変えられました。その後フランス革命をきっかけに、ガレットデロワの作成はパティシエやブーランジェ(パン職人)といった職人たちの手に渡っていきました。
現在では宗教的な意味はなくなり、季節のお菓子やイベントとしてガレットデロワを楽しむようになりました。


ガレットデロワの季節
ガレットデロワは1月6日のエピファニーの祝日に楽しむお菓子です。エピファニーは日本では主顕節や公現節とも呼ばれます。
聖書によると、ある夜3人の博士が東方で巨大な赤い星を見つけました。それは救世主の生まれたしるしであるという言い伝えにより、彼らはラクダに乗って星を追い続けました。
すると、12日目の1月6日にベツヘルムの馬小屋の真上で星はとまりました。3人の博士はイエス・キリストの誕生にまみえ、黄金・乳香・没薬を贈りものとしてささげました。これにより主の誕生が人々に知られることになりました。
現在では1月6日だけではなく、1月中ずっとガレットデロワが店頭に並び、さまざまな機会に楽しみます。














