信じられないことばかり起こる!パティスリーの3大事件

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12月に入り、もうすぐ2025年も終わりが近づきました。

12月といえば、パティスリーは猫の手も借りたいほどに忙しいはずです。こんな時期に今年1年を振り返ってみました。

目次

昇進!キッチンの責任者となる

今年の初めに、キッチン(パティスリー)の責任者となりました。

昇進です!うれしぃ。

昨年末より不吉な事件(次の章参照)が立て続けに起こり、責任者候補の人たちが辞めてしまったため、わたしが自動的に責任者になったのです。まさに棚からぼたもち。

でも、日本人というか移民が責任者になってもなんとも普通です。

レジのお金が盗まれる&ハラスメント事件

これが今年の一番大きな事件です。

昨年末のクリスマス前、最もパティスリーが忙しくなる時期に、オーナーより「商品の数と売り上げのお金が大きく合わない、盗んだ人がいるなら申し出るように」っていうメールが従業員に送られてきました。

わたしは当初、「現金払いがあるのなら多少の誤差はあるんじゃないの〜」って思ってました。実際、自動レジ機は導入してないし、現金払いだとある程度の誤差は仕方がないと思います。

ですが、この場合、1週間で70〜100€ほどの誤差でそれが7週間も続いていたらしいです。確かにこれは大きい。

そして、数日後、ふたり(女性)の従業員が急に病欠となり来なくなりました。おやおや

医者が記入した休業(arrêt de travail)書がわざわざ全員にWhatsAppで「クリスマスの激務がんばってねー」というメッセージと共に送られてきました。つらっ

わたしの職場にはいくつかレジがあり、それぞれに監視カメラがついています。レジを操作する前にも自分のIDを通さなければならないし、商品の数も、すべてはPCでコントロールしています。

なので、ちょっと魔が刺して不正をしようとしたくらいでは、すぐに見破られます。欺瞞や泥棒とか悪いことはできない仕組みになっています。

このふたりは過去7週間以上もレジのお金を取っていたり、家族や知人に無料で商品を渡していたそうです。

例えば、カフェや惣菜、ケーキを注文した客に商品を渡し、代金は盗み、レジにも記録しないというやり口だったそうです。上手いやり口だなとは思いますが、レジについている監視カメラに映った時間にレジの記録がないということで、発覚しました。

泥棒が発覚したら、認めた分の不正の金額を支払って、解雇(もしくは辞職)となります。警察にも被害届を出すこともあります。

ですが、データやビデオなどの証拠があるのにも関わらず、このふたりは自分たちの不正を認めません。その腹いせ?に、オーナー(男)をセクハラ&パワハラで訴えてきました。

職場でハラスメントが訴えられた場合、フランスではまあまあ大変なことになります。警察が職場に来て、監視カメラの内容を確認にきました。そして、検査官が何度か来て、オーナーはもちろん従業員も聞き取りをされます。オーナーは5時間くらいの面談が数日間行われたそうです。

わたしも面談があり、国籍も住所も電話番号など個人情報も聞かれます。一緒に働いたことのない新人も接点のない人も面談されます。

結果として、セクハラ&パワハラがあったという証拠はなにもありませんでした。

あるわけがない、実際にないのだから。

わたしの職場のパティスリーはそんなに広いわけではないし、あちこちに監視カメラがありますし、いつもどこかに人がいます。大きい声を出せば、まあまあどこでも聞こえるし、誰かが突然入ってくることもある場所でハラスメントは難しいんじゃないかと思います。

実際、ディレクター(女)と料理人(既婚の男)が Bisous(キス)してたのを私が不意に入ってきた場所で見かけたし、同僚は監視カメラで複数回確認してたし。そんなハラスメントとか不倫なんておもしろい?出来事が起こったら、みんな知っているのよ。

でも、さすがに今回のセクハラ&パワハラはない。あのオーナーはできないわ。

フランスではあいさつとしてビスをすることがあるのですが、それ以来オーナーは誰にもビスをしなくなりました。怖いからね。

この出来事があってから、レジの不正ってすぐに見つかるよねーっていうことが従業員の中で共有されたと思うのですが、またしても夏にレジ泥棒がおこりました。あんなに大きな事件があったのに、学びってないのかしら。

手口は前回と同様で、商品を客に渡して、金だけ受け取って、レジには記録しないという方法です。

午前中から昼過ぎまでは従業員もたくさんいるし、責任者やディレクターもいるので、不正はしづらいのですが、夕方から夜になるとかなり自由になり不正は簡単にできます。

これも二人の従業員が関わってて、ひとりは解雇でもう一人はなぜか恩赦。なんやねん

ということで、2025年の1年間のうちに2回もレジ泥棒にあっています。びっくりですよね。

でも、会社側も管理がしっかりできていないかなと思います。年末の事件も1ヶ月以上経ってから金額の誤差が発覚したし、夏の事件も2ヶ月ほど経って発覚しました。

わたしは2回目の事件の時期に、作成した商品数と売れた数が合わないことが何度かあって、ディレクターにも伝えていました。でも、なあなあにしてました(めんどくさいからね)。

ただ泳がせているだけなのか、めんどくさくて計算してないだけなのか…謎は深まります。

ていうか、1年に2回も泥棒が身内であるなんてうんざりだわ。とはいえ、自分の不祥事じゃないし、他人のこんな事件って三面記事のような面白さ(不謹慎)はあるし、反面教師のような要素もあるし。

まぁ、仕事は続けます。

客が来ない…売上が上がらない…

パティスリーの売上は季節(月)により大きく変動します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

4月の復活祭が終わって夏のバカンスが終わる8月末までは売上が落ち着き、新学期の9月から12月にかけては徐々に上がってくるようになるという一般的な波があります。

ですが、今年は5-6月は昨年に比べてすごく静かになり、夏のバカンス中は例年通り落ち着いていました。9月になっても客数は動かず、10月になっても同様。11月になると爆発的に増えるはずなのですが、静かなまま。

こんな流れは今までにはありません。この店舗だけではなく、他の店舗も同様です。

ケーキや惣菜などの作る数も減るし、追加で作ることもないし、注文が入ることも少ないので、キッチンは暇になります。5月くらいからキッチンの掃除をよくしてました。ヒマ

おそらく社会全体で余計な消費を抑えている感じです。

美容院もいつもこの時期はお客さんでいっぱいだし、予約も直前では取れません。ですが、11月に行った美容院は客は私だけでした。

11月末のブラックフライデーも比較的落ち着いていて、割引率も控えめでした。

消費を控えるとしたら、当然余計なものから減らしますよね。ケーキや菓子パン、外食などの必需品でないものはその対象となります。

背景には2024年から始まったフランスの政治危機があると言われています。2024年夏からの首相が何度も変わっており、国家予算も決まらず、政治が混乱しています。

2024年6月に行われた欧州議会選挙で極右の国民連合(RN)が勝利したことを受けて、マクロン大統領は国民議会の解散しました。その結果、議会は少数派に分裂し、どの政党も絶対多数を占めない三分立の状態となりました。首相のガブリエル・アタルが辞任したことを受け、大統領はミシェル・バルニエ氏を首相に任命しました。しかし、社会保障財源法案に対する不信任決議を受けて3ヶ月後に崩壊しました。12月にフランソワ・バイルーが新政権の首相に任命されますが、2025年9月に信任投票の否決を受けて辞任します。10月にはセバスティアン・ルコルニュが首相に任命されますが、翌日に総辞職しました。その5日後に再度首相に再任されました。

この政治的な危機が国民の消費を抑えているのではないかと、ニュースや新聞で伝えられています。

12月に入りクリスマスや年末年始のイベントがあるため、少しずつ消費は回復しているようにも感じますが、昨年ほどの盛り上がりはありませんし、週末だけという現状です。

こんなにも景気に左右されるんだという初体験をしています。


普通のパティスリーで働いているだけなんですけど、いろんなことが起こりますね。

日本でも長く働いていたのですが、警察沙汰になるのような事件は一度もなかったですね。さすが、フランスって感じです。

来年、2026年は平和で穏やかで、お客さんがたくさんくるといいなと思います。

もりりん
パティシエ
フランスのパティスリーで働いでいます。フランスの大学の歴史学科で勉強してます。よろしくね
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