フランス菓子タルトとはどんなお菓子か、材料や名前の由来、タルトの焼き方の種類、名前の違いを詳しく紹介します。
タルトとは?
タルトとは生地で器をつくり、その器の中にクリームやフルーツなどを詰めたお菓子です。フランスのお菓子といえばタルトというほど、どのパティスリーにも必ず置かれています。
また、甘いタルトだけではなく、野菜や肉、さなかなどを加えた塩味のタルトもあります。例えば、フランス料理の定番のキッシュも塩味タルトとして有名です。
フランスでよく作られているタルトには生地の焼き方によって3種類に分けられます。
また、タルト型を用いずに、ブリオッシュなどの生地を薄く伸ばして焼いたものも「タルト」と呼ばれます。
タルトの焼き方による違い
フランスのタルトの焼き方は3種類あります。
生地だけ空焼きするタルト、生地にクリームや果物などを詰めて焼くタルト、生地だけ事前に少し焼いてアパレイユなどを流し入れて再度焼くタルトの3つです。
生地を空焼きするタルト
生地だけを空焼きすることをア・ブラン(à blanc)といいます。タルト生地を型に敷き、生地だけを先に焼きます。焼成後、ガナッシュやクリームを流し入れて冷やします。
- タルト オ ショコラ(Tarte au chocolat)
- タルト オ シトロン(Tarte au citron)
中身と生地を一緒に焼くタルト
タルト生地にクリームや果物などを詰めて焼いて作ることをアヴェック・ガルニチュール(Avec garniture)といいます。
基本的にはクレームダマンドをつめて焼きます。クレーム・ダマンドと果物を一緒に焼いたり、クレーム・ダマンドを焼いてその後に生フルーツをのせる作り方があります。
クレームダマンドとはアーモンドと砂糖、バター、卵を同割で混ぜたクリームで、フランス菓子に使われることが多いクリームのひとつ。クレームダマンドにクレーム・パティシエールを加えてフランジパーヌにしたり、アーモンドの代わりにココナッツやヘーゼルナッツなどを加えるなど様々なアレンジがあります。
- タルト アマンディン(Tartes amandines)
- タルト ブルダルー(Tarte Bourdaloue)
- タルト オ フリュイ(Tarte aux fruits)
- タルト オ フレーズ(Tarte aux fraises)
- タルト オ フランボワーズ(Tarte aux framboises)
生地を二度焼くタルト
生地を少しだけ空焼きして、アパレイユなどの液体を流して再度一緒に焼くタルトの作ることをアヴェック・プレキュイソン(Avec pré-cuisson)といいます。
事前に生地を軽く空焼きし、牛乳や生クリームなどの液状のアパレイユを加え、再度焼成します。水分の多いアパレイユを加えると生地に火が通りにくくなるため、事前に空焼きし生地を焼き固めます。
主に、クラフティやキッシュなどに用います。どちらも牛乳や生クリームを多めに加えたアパレイユを用います。
- タルト ノルマンド(Tarte normande)
- クラフティ(Clafoutis)
- キッシュ(Quiche)
タルトの大きさによって異なる名称
タルトは大きさによって呼び名が変わります。
正確な呼び名ですが、すべて「タルト」でも通じます。
- タルト / Tarte
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タルト(Tarte)はホールサイズの大きなタルトのことを指します。
フランスには直径22cm〜30cm(それ以上)など様々な大きさのタルトがあります。
パティスリーで買う場合は、食べる人数で注文するとわかりやすいです。目安としては直径22cmのタルトで6~8人分です。
- タルトレット / Tartelette
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タルトレット(Tartelette)は一人用の小さいなサイズのタルトのことを指します。
パティスリーによって異なりますが、直径6~8cm程度の大きさです。
- タルトレット・フール / Tartelette four
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タルトレットよりも小さく、一口サイズのタルトのことをタルトレット・フール(Tartelette four)といいます。
プチフールの一種で、直径2~3cmほどの大きさです。
パーティなどに用いられ、パティスリーに置いているところもあります。
- バルケット / Barquette
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バルケットは楕円形の形をしているタルトで、「小舟型」という意味です。
フランス定番のタルト
- Amandine
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[アマンディン]クレームダマンドを詰めて焼いたタルト
- Clafoutis
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[クラフティ]さくらんぼなどの果物にフラン液を加えて焼いたデザート、型となる生地はないけれどタルトに当たります
- Flan
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[フラン]フラン、牛乳や卵など使った液をタルト生地に流して焼いたタルト
- Quiche
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[キッシュ]野菜やベーコン、サーモンなどの具材に生クリームと卵でつくるアパレイユを加えて焼いたタルト
- Tarte au chocolat
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[タルト オ ショコラ]チョコレートタルト
空焼きしたタルト生地にチョコレートガナッシュを流し入れ冷やします
- Tarte au citron
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[タルト オ シトロン ]レモンタルト
空焼きしたタルト生地にバターとレモンをベースにしたアパレイユを流し入れ冷やします
- Tarte au citron meringuée
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[タルト オ シトロン メランゲ ]メレンゲのせレモンタルト
レモンタルトの上にメレンゲを絞り、バーナー等で焼き色をつけます
- Tarte aux fraises
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[タルト オ フレーズ]イチゴタルト
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- 生地とクレームダマンドを一緒に焼き、クレームパティシエールを絞り、苺を飾ります
- 生地とフランジパーヌを一緒に焼き、苺を飾ります
- Tarte aux framboises
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[タルト オ フランボワーズ ]フランボワーズタルト
- 生地とクレームダマンドを一緒に焼き、クレームパティシエールを絞り、フランボワーズを飾ります
- 生地とフランジパーヌを一緒に焼き、フランボワーズを飾ります
- Tarte aux fruits
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[タルト オ フリュイ]フルーツタルト
- 生地とクレームダマンドを一緒に焼き、クレームパティシエールを絞り、生の果物を飾ります
- 生地とフランジパーヌを一緒に焼き、生の果物を飾ります
- Tarte aux pommes
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[タルト オ ポム ]りんごタルト
- Tarte Bourdaloue
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[タルト ブルダルー]クレームダマンドと洋梨を詰めたタルト
- Tarte Tatin
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[タルト タタン]タルトタタン、りんごタルト
カラメルとりんごを詰めて生地をかぶせて焼いて、ひっくり返したタルト
- Tarte tropezienne
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[タルト トロペジェンヌ]トロペジェンヌ
横に切ったブリオッシュにクレームムースリーヌを挟んだお菓子
タルトのバリエーション
上記の定番のタルト以外にもさまざまな種類のタルトがあります。のせた果物の数だけタルトの種類はあると言っても過言ではありません。
- Alcazar
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[アルカザール]スペイン由来のアプリコットと使ったタルト
- Capucin
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[カピュサン]グリュイエールチーズのシュー生地を詰めた塩味のタルトレット
- Dorine
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[ドリヌ]マロンクリームを詰めたタルトレット
- Flammekueche / Flammenküche
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[フラムクシュ / フラメンキシュ]薄く伸ばした生地に生クリーム、玉ねぎ、ベーコンを乗せて焼いたアルザス由来の料理。タルトフランべ(Tarte flambée)ともいいます。
- Flône / Flaune
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[フロン]アベイロンやタルン由来のチーズのタルト
- Fra / Fras
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[フラ]ピュイゼイユ由来のフロマージュブランを使った塩味タルト
- Fromagé
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[フォロマジェ]ポワトゥ由来のヤギのチーズを使ったタルト
- Galette au sucre
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[ガレット オ シュクル]アルデンヌ由来の砂糖のタルトレット
- Galette bressane
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[ガレット ブルッサン]ブレス地方由来のブリオッシュ生地に生クリームとバター、砂糖をのせたタルト
- Gâteau à l’badré
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[ガトー ア バドレ]ピカルディ由来のフラン
- Gâteau aux pignons
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[ガトー オ ピニョン]ピレネー由来のクレームダマンドの入ったタルトレット
- Imbrucciata
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[アンブリュシアタ]コルシカ島由来のフロマージュブランのタルトレット
- Linzertorte
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[リンツァトルト]オーストリア由来のフランボワーズのコンフィチュールを詰めたタルト
- Maid of honour
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[メイド オブ オノール]イギリス由来のアーモンドとレモンのタルトレット
- Mendiant
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[マンディアン]アルザス由来のパンの入ったクラフティ
- Pont-neuf
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[ポン ヌフ]クレームパティシエールとシュー生地を混ぜたものをパイ生地に詰めて焼いたタルトレット
- Talmouse
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[タルムーズ]クレームパティシエールとシュー生地を混ぜたものをパイ生地に詰めて焼いたタルトレット(pont-neufと同じ)
- Tarte à l’badrée
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[タルト ア バドレ]ピカルディ由来のフランタルト
- Tarte à l’pronée
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[タルト ア プロネ]ピカルディ由来のプルーンを詰めたタルト
- Tarte à la praline rouge
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[タルト ア ラ プラリン ルージュ]リヨン名物の赤いプラリネと生クリームを合わせたタルト
- Tarte au caillé
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[タルト ア カイエ]アヴェイロン由来のチーズタルト
- Tarte au fromage blanc
-
[タルト オ フロマージュ ブラン]フロマージュブランを詰めたタルト、チーズタルト
- Tarte au quemeau
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[タルト オ ケモ]ソーヌ=エ=ロワール県ルーアン由来のフロマージュブランを詰めた甘いタルト
- Tarte au quemeu
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[タルト オ ケム]オートマルヌ由来のフロマージュブランを詰めた塩味のタルト
- Tarte au sucre
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[タルト オ シュクル]北フランス由来のヴェルジョワーズ糖を使ったタルト
- Tarte de linz / Tarte Linzer
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[タルト ド リンツ / タルト リンツァー]リンツァートルテ、クレームダマンドどフランボワーズのジャムを詰めて表面に生地を格子状に飾ったタルト(tarte Linzerと同じ)
- Tarte encalat
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[タルト アンカラ]アヴェイロン由来のチーズタルト(tarte au cailléと同じ)
- Tarte passion
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[タルト パッシオン]パッションフルーツのタルト
- Tarte normande
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[タルト ノルマンド]りんごに生クリームで作ったアパレイユを流して焼いたタルト
- Tarte tutti frutti
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[タルト トゥティ フルッティ]様々な生フルーツを盛ったタルト
- Tartelette au citron vert
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[タルトレット オ シトロン ヴェール ]ライムのタルトレット
塩味のタルト
生地に野菜やベーコンなどの材料を加えると塩味のタルトになります。フランスでは野菜を加えて味付けしたシンプルなたるとも家庭料理として定番です。
主に、トマトやズッキーニ、なすを使ったタルトが定番ですが、そのほかのさまざまな野菜を用いることもあります。アスパラガスや玉ねぎ、ポワロー、パプリカなどのすべての野菜、ベーコンやハム、ツナ缶などを具材として用います。生クリームや卵をベースにしたアパレイユ、フレッシュチーズ、マスタード、トマトソースなどをベースにしています。
- Fra / Fras
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[フラ]ピュイゼイユ由来のフロマージュブランを使った塩味タルト
- Flammekueche / Flammenküche
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[フラムクシュ / フラメンキシュ]薄く伸ばした生地に生クリーム、玉ねぎ、ベーコンを乗せて焼いたアルザス由来の料理。タルトフランべ(Tarte flambée)ともいいます。
- Pissaladière
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[ピサラディエール]ニース由来のアンチョビを詰めた塩味タルト
- Quiche
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[キッシュ]キッシュ、生クリームをベースにしたアパレイユに野菜などの具材を加えたタルト
- Tarte à la tomate
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[タルト ア ラ トマト]薄切りにしたトマトを敷いた夏の定番の塩味タルト
- Tarte à la courgette
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[タルト ア ラ クルジェット]ズッキーニを敷いた塩味のタルト
- Tarte aux légumes
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[タルト オ レギューム]野菜のタルト
タルトが誕生した由来
タルトは生地を器にして器ごと食べるお菓子です。生地を器にする作り方は、古代ギリシアや古代エジプト時代にすでに行われていました。
その時代には蜂蜜やクリームなどが食べられていました。しかし、スプーンといった道具はまだないため、液体のものはそのままだと食べにくいため、粉類や水などで器を作り、その中に蜂蜜やクリームなど液体を流し入れて器ごと一緒に食べていました。これがタルトの起源です。
タルトは古代ローマ時代に食べられていたパイ菓子の一種であるトゥルト(Tourte)に由来しています。現在ではトゥルトはパイ包み焼きのことで、中には肉やクリームなどを詰めて焼いた料理のことをいいます。

