焼き菓子は小麦粉と卵、砂糖、バターとシンプルな生地で作りますが、混ぜ方や分量の違いでいろんな生地ができるところが好きです。その中でも私がいちばん好きなのがカトルカールです。
カトルカールはこれらの4つの材料は同じ分量で作るのですが、混ぜ方によって出来上がりが変わってきます。
今回はわたしの一番気に入っているカトルカールの作りかたを紹介します。
特徴はベーキングパウダーなどの膨らし粉を使わずに膨らませます。うまくできるとふわふわで溶けるような食感のカトルカールができあがります。
レシピと合わせて、パウンドケーキとの違いやよくある失敗と解決法についても解説します。
カトルカールとは?
カトルカールとは、小麦粉・砂糖・卵・バターでつくるお菓子で、この4つの材料を同じ量使うのが特徴です。カトルカールはフランス由来の名前で、英語圏ではパウンドケーキと呼びます。
卵白を泡立てたり、ベーキングパウダーを加えて膨らまします。
レモンの皮やオレンジコンフィ、ヘーゼルナッツエキス、バニラエッセンス、アーモンドプードル、カカオパウダーなどを加えて風味をつけたり、コニャックやキュラソーなどのアルコールで香りをつけることもあります。
カトルカールは19世紀後半に作られるようになりました。
フランス語の名前
- Quatre-quart
-
[カトル カール]カトルカール / フランス語
「4分の4」という意味 - Pound cake
-
[パウンド ケイク]パウンドケーキ / 英語
- Cake
-
[ケイク]ケーク / フランス語
« cake » もカトルカールと同じ材料を用いますが、同割でない場合もあり、一般的にはドライフルーツやフルーツコンフィを加えます。
カトルカールとパウンドケーキとの違い
パウンドケーキはイギリス、カトルカールはフランス生まれのお菓子です。どちらも小麦粉・バター・砂糖・卵を同量つかいます。
パウンドケーキはイギリスで18世紀初めにできたと言われています。
当初、材料を1ポンド(450g)ずつ加えていたことから、この名前がつけられました。一般家庭には計りがなかったため、聖書の重さを基準として計っていたとも言われています。ちなみに、ポンドは人間が1日に消費する食糧である大麦の重さ(=1ポンド)が由来となっています。
その当時には膨らし粉(ベーキングパウダーや重曹)は加えていませんでしたが、20世紀に入り加えるようになりました。
パウンドケーキもカトルカールもどちらも同量の材料で構成され、それが名前の由来にもなっています。
カトルカールの基本のレシピ
このレシピのカトルカールは、ベーキングパウダーや重曹といった膨らし粉を使っておらず、卵の水分とバターを混ぜるときに取り込まれた空気によって膨らませています。できあがりの生地はキメが細かく、大きな穴ができていないのが特徴で、口の中でほろっと溶けます。
ちなみに、ベーキングパウダーを加えた場合、焼成後の生地はキメが荒く、断面に縦に穴があき、少し苦味があります。

調理時間:20分
焼成時間:40分〜50分
材料
パウンド型(縦170×横86×高さ75 mm)1台分
まず、殻を割って卵の重さをはかり、卵と同じ量にバター、砂糖、薄力粉を計量します。
- 卵:3個
- バター:卵と同量
- 砂糖:卵と同量
- 薄力粉:卵と同量
- 薄力粉・バター 各々10g程度(型用)
- バターと卵は使用する30分ほど前に冷蔵庫から出しておきます。
必要な道具
- ボウル
- 泡立て器 / 卓上ミキサー / ハンドミキサー
- ゴムベラ
- パウンド型
- パウンド型の内側に指を使ってバターを塗り、薄力粉を薄くはたき、型を使う直前まで冷蔵庫に入れておきます。
今回使用したパウンド型は、縦170×横86×高さ75(mm)で、素材はスズメッキ製です。一般的なパウンド型よりも高さがあるため、形の美しいカトルカールができます。

カトルカールの作り方
オーブンを170℃に予熱し始めます。
ボウルにバターを入れ、泡立て器(ミキサー)を使い、白くふわっとするまで混ぜます。

砂糖を加え、さらにふんわりとするまで泡立て器で混ぜ合わせます。

卵を溶き、少しづつ加えながら混ぜ合わせます。泡立て器で生地がふんわりとするまで混ぜ合わせましょう。

薄力粉を加えて、ゴムべらで混ぜ合わせます。小麦粉が見えなくなってから、40回ほど艶ができるまで混ぜます。

型に生地を詰めます。中央を凹ませると膨らみがきれいにでます。

170℃に熱したオーブンに入れて、40分〜50分程度焼きます。表面にこんがりと焼き色がついたらオーブンから出し、ケーキクーラーの上におきます。

出来立てもおいしいですが、焼き上がった翌日から3日目がしっとりとして、よりほろっとした食感になります。


よくある失敗と解決法
- バターはどのくらいまで混ぜればいい?
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バターは白っぽくなり、ふんわりとするまで混ぜます。
バターは使用前は黄色ですが、しっかり混ぜると白っぽくなります。バターは使用の30分前に冷蔵庫から出し、指で押してまだ硬さの残る状態にしておきます。
指で押して簡単につぶせる状態はゆるすぎです。ゆるすぎると砂糖を加えたときに白っぽくなりません。
- 卵を加えるとボロボロとなり、分離してしまう
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卵は少しずつ加えると分離しません。卵は5回ほどに分けて加え、加えた卵液が見えなくなるまで混ぜます。
- 小麦粉を加えてからどのくらい混ぜればいい?
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生地に艶が出るまで混ぜましょう。
小麦粉を一気に加え、ゴムベラで小麦粉が見えなくなるまで切り混ぜ、それから40回ほど混ぜるのを目安としましょう。
- 焼き上がりの割れ目がきれいにするにはどうしたらいい?
-
割れ目をきれいにする方法はいくつかありますが、私の場合は生地を型に詰めるときに中央を凹ませるように詰めます。今回のレシピだとできあがりの生地はしっかりとしているため、凹みを作ることができます。
焼成途中でオーブンから取り出すこともないため、オーブンの温度が下がりません。
手作りカトルカールの保存方法と保存期間
手作りのカトルカールはしっかりラップで密封して、常温で保存します。4〜5日は保存可能です。
室温が高温多湿になる夏場は、冷蔵庫に入れてください。
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