お菓子のレシピから学ぶフランス語講座

フランスでバター不足のニュース

フランスでは料理にもお菓子にもたくさんのバターが使われています。フランスではバターがない生活なんて考えられません。

ですが、現在フランスはバター不足です。スーパーには全くといっていいほどバターがありません。

フランスのバターの種類
目次

フランスのバター不足のほんとの原因

フランスのバターの種類

フランスでも現在(2017年11月現在)バター不足が起こっていて、ほとんどのスーパーにはバターが全くありません。バターの棚ごとなくなっているんです。本来のバター売り場のところでがっかりしているフランス人がたくさんいます。当然、わたしも。

代わりにマーガリン系の商品が並んでいるんですが、代替品ってほんとにマズいので、早いとこバター不足が解消してほしいものです。

ということで、フランスのバター不足の原因についてまとめてみました。フランスの新聞ル・モンド(le monde)を参考にしています。

原因のひとつは世界的なバター人気!

2017年2月以来、1トン当たりのバターの価格が暴騰して、9月に価格上昇のピークを迎えました。2016年4月には1トン当たり2500ユーロ(約33万円)だったのですが、9月には6800ユーロ(約90万円)* に値上がりしています。

*1ユーロ=132円(2017年11月現在)で計算

バターの価格暴騰の原因は、世界的なバター消費の増加です。2017年では2.7%、過去4年間でも7%増加しています。

そのバターの消費が増加した要因は、アメリカで「バターや動物性油脂は健康に有害ではない」っていう科学の研究結果が発表されたことに始まりました。その後、アメリカの雑誌 ”Times” が「バターを食べよう」と訴求したり、マクドナルドがマーガリンをバターに替えるという動きがありました。

これらの動きによって、バターの購買力が刺激され、バターの消費が増えていきました。

アメリカではバターの消費が2017年に8%と急上昇し、中国でも次第に動物性油脂への関心が高まりはじめ、2016年1月〜8月の間に中国へのバターの輸出は46%増加しました。

バターの消費は急増したのですが、世界でのバターの生産は2017年ではたったの2%しか上がっていません。

牛製品の輸出が世界1位のニュージーランドでさえも、乳製品の生産が少し減っています。ヨーロッパでも乳製品の生産は、2015年以降減少に転じ、2016年末からは、飼料の収穫量の減少と厳しい気候条件によりさらに減少しています。フランスではバターの生産が3%減少しました。

なんでフランスだけバターがないのか?

世界的にバターの消費が増大してきたこととバター生産が増えていないことがバター不足の原因になっているのは分かりました。

でも、フランスでは以前よりバターの消費は活発で、しかも酪農大国であるのにもかかわらずフランスだけバターがスーパーの棚から消えたのか。また、酪農大国であり、牛乳やチーズは普通にスーパーに売られているのに、バターだけなぜないんでしょうか。

その原因は、スーパーなどの販売業者と乳牛の生産者との間に問題があります。

毎年2月にスーパーはバターの購入価格をバターの仕入れ先と決めており、その決められた価格はその年の間は固定されます。

2017年2月以来、バターの価格は上がったけれど、スーパーでの販売価格は同じままです。よって、供給業者と販売業者の間に対立が生じます。

生産者にとっては、大量の牛乳を必要とするのにもかかわらず価格が安いバターを作るよりも、チーズや生クリームといったほかの乳製品を生産したほうがいいじゃんっていうことになります。

1kgのバターを作るのに22リットルの牛乳が必要なのですが、1kgの生クリームは10リットルで作れます。生クリームを作ったほうが効率が良いんです。また、高く売れるチーズを作ったほうが儲けれるじゃんってことですよね。

実際にフランスでは牛乳の生産不足はなく、8月末以来、過去5年間の平均を上回っているほどです。

ニュースのインタビューで、乳牛の大生産地であるノルマンディーのマダムが「そこらへんに牛たくさんいるのに、なんでバターだけないの???」って吠えていらっしゃいました。おっしゃるとおり牛乳はたくさん生産されています。

さらに、世界でのバターの価格は9月のピーク以降低下していますし、現在(10月)では6000ユーロ/トン、12月には5000ユーロを下回ると予測されています。

ですので、フランスのスーパーにバターが全くなくなっているのは、乳牛が減少している訳でもなく、牛乳の生産が足りない訳でもなく、単なる生産者と小売業者の小競り合いの結果です。

こうやってお互いが意地をはりだすと収まりにくくなるのが大人の世界ですね。

昨日(11月6日)のニュースでもバター不足はまだまだ収まらないってニュースになってました。

まじで、ほんとによ。

フランスのバター不足の原因がただの生産者とスーパーのケンカだったなんて呆れてしまいますが、フランスのバターが戻ってくることを祈ります。

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