ヌガーは古い歴史をもつお菓子で、特に南フランスのモンテリマールのものが有名です。
この記事では、ヌガーとはどんなお菓子か、材料やヌガーが誕生した歴史について説明しています。さらに、様々あるヌガーの種類、モンテリマールのヌガーとその製造工程についても紹介しています。
ヌガーとは?
ヌガーとは砂糖や蜂蜜とあわ立てた卵白にナッツ類を加えたお菓子のことです。
ヌガーは古代ローマ時代にはすでに作られていたほどの古いお菓子で、今の形になったのは16世紀と言われています。
一般的なものは白ヌガーといいます。プロヴァンス地方でクリスマスに食べるトレーズ・デセールのひとつでもあります。
砂糖や蜂蜜、水飴、転化糖を白くなるまで練り合わせて、ナッツ類を加えてさらに混ぜ合わせて作ります。卵白や牛乳、ゼラチンなどを加えて、生地を軽くすることもあります。アーモンドなどのナッツ類は生地の15%以上含まれていなければいけません。生地は大きな塊のまま固め、適当な大きさで切り分けます。
キャラメルみたいに歯にくっつきそうな食感をイメージしてしまいそうですが、実際には白いヌガー部分は軽くサクサクとしています。製造工程で卵白をしっかりと泡立てているため、軽い食感がします。
フランス語の名前
- Nougat
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[nuga] ヌガー / フランス語
ヌガーの構成・材料
分類 | コンフィズリー |
構成 | – |
材料 | アーモンド ピスタチオ 蜂蜜 砂糖 卵白 |
ヌガーの種類
- Nougat blanc
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[nugablɑ̃] ヌガー ブラン / フランス語で「白いヌガー」という意味
砂糖や蜂蜜を白っぽく混ぜ、メレンゲとナッツ類(15%)を加えた白いヌガー - Nougat noir
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[nuganwaʁ] ヌガー ノワール / フランス語で「黒いヌガー」という意味
砂糖と蜂蜜を白濁させず、卵白とナッツ類を加えて作る茶色のヌガー - Nougat au miel
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[nugaomjɛl] ヌガー オ ミエル / フランス語で「黒いヌガー」という意味
砂糖と蜂蜜を白濁させず、卵白とナッツ類を加えて作る茶色のヌガー - Nougat de Montélimar
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[nugadəmɔ̃telimaʁ] ヌガー ド モンテリマール
フランス語で「モンテリマールのヌガー」という意味 - Nougat de Provence
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[nugadəpʁɔvɑ̃s] ヌガー ド プロヴァンス / フランス語で「プロヴァンス地方のヌガー」という意味
黒いヌガーの一種で、蜂蜜を25%加えて茶色くなるまで煮詰めて、アーモンドやヘーゼルナッツ、コリアンダーやアニス、オレンジエッセンスを加えて作る - Nougat glacé
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[nugaglase] ヌガー グラセ / フランス語
砕いたヌガー・ノワールを加えたアイスクリームで作るデザート
モンテリマールのヌガーとは?
モンテリマールのヌガー Nougat de Montélimarはフランスのモンテリマールで作られたヌガーです。南フランスなどで作られているヌガーですが、モンテリマールのヌガーが有名です。
モンテリマールのヌガーは白ヌガーの一種で、アーモンドが生地の28%、ピスタチオが2%、蜂蜜25%以上加えたものというきまりがあります。もしくは、ナッツ類が生地の30%以上加えています。
モンテリマールはオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏の南方にある町です。プロヴァンス地方近くに位置しているため『プロヴァンスの入口』といわれています。
ヌガー博物館
1837年創業のモンテリマールにあるアルノー・スベロン(Arnaud Soubeyran)にはヌガーに関する博物館が併設されています。
モンテリマールのヌガーの製造工程
前述のArnaud Soubeyran(アルノー・スベロン)での製造工程の動画をご覧ください。
プロヴァンス地方で採れたアーモンドや蜂蜜を使用し、常に材料を混ぜている様子が見られます。
ヌガーが誕生した歴史
国 | フランス |
地方 | プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏 |
町・地名 | マルセイユ |
ヌガー « nougat » はプロヴァンス語の「くるみの絞りかす」を意味する « nogat » から派生してできた言葉です。
古代ローマ時代の食通として有名なアピキウスがヌガーのレシピを書き残しているほど、古い歴史のあるお菓子です。その当時のヌガーは現在見られるヌガーとは異なり、ヌガーの原型である木の実を蜂蜜で固めた食べものが作られていました。
現在のヌガーが作り始められたのは、16世紀初めのマルセイユです。
17世紀に入ると、農学者オリヴィエ・ドゥ・セール Olivier de Serresがランドック地方でアーモンドの栽培を始め、その後モンテリマールでアーモンドの栽培をすすめました。アーモンドが採れるようになったことにより、ヌガーの製造も盛んになっていきました。
1701年、モンテリマール市長がルイ14世の孫であるブルゴーニュ公に100kgのヌガーを献上したという記録が残っています。
昔は蜂蜜や砂糖を練った生地はとても重く、混ぜるのに力のいる仕事ですが、手作業で行っていました。しかし、第一次世界大戦後は機械で作るようになり、現在も機械をつかって生地を練っています。