ノネットとはパンデピスに似たスパイス入りのお菓子で、特にクリスマスに食べられています。日本ではあまり知られていませんが、フランスではとても有名なお菓子です。
この記事では、ノネットとはどんなお菓子か、材料や構成、フランス各地で作られているノネットについて解説します。
スパイスがたっぷり入ったお菓子は日本ではあまり見られませんが、もっと広まるといいなぁと思っています。
ノネットとは?
ノネットとは丸くて表面を糖衣し、中身にジャムや蜂蜜をつめたパンデピスです。
フランス北東部のランスとルミルモン、中東部のディジョンの銘菓として知られています。パンデピスとはスパイスと蜂蜜の入ったお菓子のことです。
カシスやアプリコット、フランボワーズなど果物のジャム、チョコレートやキャラメルを詰めたノネットもあります。
一般的には、フランスでは1年中出回っていますが、ランスでは12月6日のサン=ニコラの日を祝うお菓子として知られていました。
オランダではクリスマス時期に食べることもあります。12月6日のサン=ニコラの日の前夜、修道女は聖人ニコラの到来を告げるためにノネットなどのお菓子を子供の部屋に投げ入れていました。
フランス語の名前
- Nonnette
-
[nɔnɛt] ノネット / フランス語
「修道女」を意味する nonne に由来しています - Nonnettes de Reims
-
[ノネット ド ランス]ランスのノネット / フランス語
- Nonnettes de Dijon
-
[ノネット ド ディジョン]ディジョンのノネット / フランス語
- Nonnettes de Remiremont
-
[ノネット ド ルミルモン]ルミルモンのノネット / フランス語


ノネットの材料・構成
分類 | パティスリー/プチガトー |
構成 | パンデピス生地 ジャム/蜂蜜 |
材料 | ライ麦粉/小麦粉 マンダリンのジャム 蜂蜜 砂糖 卵黄 スパイス |
フランス地方にあるノネットの由来
時代 | 中世時代 |
国 | フランス |
地方 | グラン・テスト地域圏 |
町 | ランス |
人物 | 修道女 |
ランスのノネット
ノネットはランスで生まれたと言われていて、パンデピスと同じように中世時代から食べられていました。当初は修道院で作られていました。
定期市によって、パリなどの都市へ運ばれ、貴族たちはノネットのようなパンデピスを好み、客人に振る舞うのが習慣となっていました。18世紀にはノネットはランスを代表する名物菓子の一つとなりました。
その後、フランスで列車が開通し、乗客や旅人にも販売するようになり、全国に広まっていきました。
ランスのノネット(Nonnettes de Reims)はオレンジのマーマレードを詰め、卵白と蜂蜜でコーティングして作ります。
ランスではメゾン・フォシエ(Maison Fossier)のみで作られています。
ディジョンのノネット
フランス中東部ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏に位置する都市ディジョンでもノネットは有名です。ノネットだけではなく、スパイスを用いるパンデピスはディジョンを代表する銘菓です。
ディジョンのノネット(Nonnettes de Dijon)は地元の修道会によって広く普及しました。
1796年創業の有名なミュロ&プチジャン(Mulot & Petitjean)でディジョン特産のカシスやレモン、チョコレートなどさまざまなジャムを詰めたノネットが売られています。

ルミルモンのノネット
フランス北東部グランテスト地域圏のヴォージュ県 にある小さな町ルミルモンでもノネットが作られています。
ルミルモンのノネット(Nonnettes de Remiremont)は18世紀にルミルモンの修道院の修道女によって考案されたと言われています。
1751年に料理人ジョセフ・ジリエ氏によって書かれた料理人名鑑『カナメリスト』にノネットの記述が残っています。ジリエ氏はスタニスラス・レクザンスキ王の料理長だったため、おそらくレクザンスキ王もノネットが好きだったに違いありません。また、彼の娘マリー(フランス王ルイ15世の妃)を通して、ヴェルサイユ宮殿にも伝わっていたことでしょう。
ルミルモンのノネットは20世紀初頭、菓子職人ジルベール・キリン(Gilbert Quirin)によって、修道女たちのレシピに従い、1932年から彼の子孫によってノネットを受け継いでいました。
- 現在ではそのパティスリーは閉店しているようです。
ルミルモンのノネットはヴォージュ産モミの木の蜂蜜とシナモンを加えており、砂糖やチョコレートでコーティングされているのが特徴です。