ジェノワーズはフランス菓子の基本中の基本の生地で、さまざまなケーキに用いられます。
この記事では、ジェノワーズの名前やアントルメへの用途、型の大きさによるレシピと保存方法と期間、ジェノワーズの由来について詳しく書いています。
ジェノワーズとは?
ジェノワーズは全卵を泡立てつくるふんわりとした生地のことで、日本ではスポンジケーキと言います。多くのアントルメの土台として使われています。
フランス語の名前
- Génoise
-
[ジェノワーズ]ジェノワーズ生地、スポンジ生地 / フランス語
どんなお菓子に使う?
フランス菓子の基礎となるジェノワーズはさまざまなアントルメの土台として使われます。代表的なものを挙げます。
- フレジエ(Fraisier)
-
いちごとクレームムースリーヌを挟んだアントルメ。イチゴの旬である初夏によく作られます。イチゴとクレームムースリーヌを薄くスライスしたジェノワーズで上下で挟みます。
- フランボワジエ(Framboisier)
-
フレジエのフランボワーズ版で、同じくジェノワーズを土台にして作ります。
- ビュッシュ ド ノエル(Bûche de Noël)
-
クリスマスの丸太ケーキのことで、ジェノワーズを長方形に薄く焼き、ロールにして巻いて作ります。
- ガトー ルレ(Gâteau roulé)
-
ロールケーキのことで、薄く焼いたジェノワーズを巻いてつくります。
- フォレ ノワール(Forêt Noire)
-
ココア味のジェノワーズ生地に、生クリームとさくらんぼを組み合わせたショートケーキの一種です。
- モカ(Moka)
-
ジェノワーズとコーヒー風味のクレームオブールで作るアントルメ。
ジェノワーズのレシピ
材料
今回は卵・砂糖・小麦粉のみを使ってつくるレシピです。型の直径15cm・18cm・20cmの大きさ別の配合で紹介しています。
- 直径15cmの型
-
- 卵 100g(2個)
- グラニュー糖 60g
- 薄力粉 60g
- 直径18cmの型
-
- 卵 150g(3個)
- グラニュー糖 90g
- 薄力粉 90g
- 直径20cmの型
-
- 卵 200g(4個)
- グラニュー糖 120g
- 薄力粉 120g
- 型に塗る用のバターが10gほど別途必要です。
- 卵は使用する1時間以上前に冷蔵庫から出しておきます。
必要な道具
- 粉ふるい器
- セルクル型(15cm・18cm・20cm)
- ボウル
- 温度計(あれば)
- ミキサー(ハンドミキサー・卓上)/ 泡立て器
- ゴムベラ
- オーブンシート
- オーブン板
- ナイフ
- ミキサーがない場合は泡立て器で泡立てます。
- 底のないセルクル型を使って作っています。セルクル型だと底部分がないため、生地が型からはずしやすく、型紙を敷く必要がありません。セルクル型がない場合は、スポンジケーキ型やマンケ型を使用しても同様に作れます。
ジェノワーズの作り方
スポンジ生地は卵と砂糖を泡立てて、小麦粉を加えて混ぜるという流れで作っていきます。
- 薄力粉をふるいます。
- 湯煎用のお湯を沸かします。
- 型の内側に冷たいバターをこすりつけて塗ります。バターが固まりにならないように薄く塗ります。
- オーブンシートを敷いたオーブン板の上に、型をのせておきます。
- オーブンを180℃に予熱しはじめます。
ボウルに卵とグラニュー糖を入れ、ボウルを湯煎にかけます。泡立て器で軽く混ぜ、卵液を温めます。卵液の全体がが36℃になり、砂糖が溶けたら湯煎からはずします。
36℃とは体温と同じくらいです。温度計がない場合は、指で触ってみて冷たくなく、熱すぎなかったらちょうど36℃くらいです。


卵黄に含まれる脂質は気泡をできにくくするため、泡立ちにくくなります。卵を温めると粘性が弱まって、さらさらとして流動性がよくなり、表面張力が低くなり泡立てやすくなります。
ハンドミキサーや卓上ミキサーを高速にして泡立てはじめます。高速で泡立てると空気を取り込んで大きな気泡が出てきます。
泡立て器で混ぜる場合は、力強く混ぜ続けます。


卵液のボリュームを大きくなったら、中速にして泡立てます。新たな空気は取り込まれにくくなり、大きな気泡は小さくなっていきます。気泡が最初に比べて小さくなり、生地が白っぽくなります。
白っぽくなったら、低速にして落として泡立て続けます。気泡は次第に小さくなっていきます。新たな空気は取り込まなくなるため、生地のボリュームは増えなくなります。
生地をすくって落とすと、生地が数段重なり合ってから、ゆっくりと中に沈んでいきます。このようになったら泡立ては完了です。


小麦粉を一気に加えて、ゴムベラを使って粉が見えなくなるまで混ぜます。ゴムベラを時計回りに切り、ボウルを反時計回りに回しながら混ぜ合わせます。粉が見えなくなってから、さらに40回程度混ぜます。
小麦粉を加える前よりもボリュームが減り、引き締まったようになり艶が出てきます。


型に生地を流し入れます。型の8割程度の高さまで加えるようにしましょう。8割を超えると、焼成中に生地が流れ出てしまいます。

生地の混ぜかたや卵の量によって、型に対する分量通りに作ってもちょうどの量にできない場合もあります。作った生地をすべて加えなくていい場合もあります。
180℃に温めたオーブンに入れて、約30分焼成します。生地にナイフを刺して、濡れた生地が付いてこなければ焼き上がりです。
焼き時間はオーブンの性能や生地の高さによって異なります。型の大きさが異なりますが、だいたい30分程度で焼きます。

オーブンから出したスポンジ生地はすぐに、10cmほど上から台へ落として打ち付けます。2~3回落とします。
スポンジ生地は網に上下を逆にして(表面を下)にして冷まします。
台から落とすことで、生地のなかにある水蒸気をなるべく早く外に出します。
生地を逆さにするのは、生地の下にある小さな気泡がつぶされず均一になり、表面の生地が平らにする役目があります。
生地が冷めたら、できあがりです。すぐに使わない場合は、ラップに包んで保存します。

動画
フランスのパティシエによる、ジェノワーズの基本的な作り方の解説動画です。
ジェノワーズの保存方法・期間
すぐに使わないジェノワーズは、ラップをして、冷蔵庫で保存します。4日間は保存可能です。
ジェノワーズはどこ生まれ?意外な歴史と名前の由来
ふわっと軽く、口どけの良いスポンジ生地、フランスでは「ジェノワーズ」といいます。フランス菓子の基本としてよく登場しますが、実は、フランス発祥の生地というわけではありません。
物語は18世紀のヨーロッパ宮廷にさかのぼります。
18世紀、ジェノヴァ共和国はスペイン、フランス、ポルトガルなどと盛んに海上貿易を行っていました。その中で、1747〜1749年の間に、ドメニコ・パラヴィチーニ侯爵がスペインのマドリード宮廷に派遣された、という説が広まっています。
この侯爵がマドリードへ向かう際、家臣や使用人を連れて旅に出ました。その中に、若い菓子職人 ジャン=バティスト(ジョー・バッタ)・カボナ がいたと言われています。彼は長年、侯爵一家に仕えるパティシエでした。
マドリードでの宮廷レセプションの際、パラヴィチーニ侯爵はカボナにこう頼みます。
「普通のケーキとは違う、何か特別なケーキを作ってほしい」
そこでカボナが考え出したのが、現在のジェノワーズの原型と言われる生地です。伝統的なスポンジ生地をベースに、材料をシンプルに組み合わせ直し、信じられないほど軽い食感を生み出したと伝えられています。
そのケーキを口にしたスペイン宮廷の人々は、驚きと感動に包まれました。その軽さを讃えて、この生地は 「ジェノワーズ(ジェノヴァ風)」 と呼ばれるようになったのです。
一方、イタリアでは、スペイン国王カルロス3世とその宮廷への敬意を込めて、このケーキを「パン・ディ・スパーニャ(スペインのパン)」と呼ぶようになりました。
名前は違っても、同じルーツを持つお菓子なのです。
