古代より果物などの食べ物を保存する技術として、コンフィが発達しました。フランスではパティスリーで、見た目にも美しいため頻繁に使われている製菓材料のひとつです。
この記事ではフリュイコンフィとはどのようなものかをふまえつつ、種類やお菓子への用途、世界的にも知られているアプト産のフリュイコンフィの製造過程を書いています。また、アヴィニョン捕囚と関係する歴史もお伝えます。
フリュイコンフィとは?
コンフィとは砂糖やアルコール、油、酢に漬けて保存した野菜や果物のこと。肉を塩と脂につけたもののこともいいます。
フリュイコンフィとは、砂糖に漬けた果物のことです。昔はおいしさのためではなく、保存のために砂糖漬けにしました。
ほとんどの果物はコンフィにできますが、ブドウやリンゴ、グロゼイユ、ブラックベリー、ヘーゼルナッツなどはコンフィに適していません。
南フランスのアプト産(Apt)のフリュイコンフィが有名です。
フランス語の名前
- Fruit confit
-
[フリュイ コンフィ]フルーツコンフィ、果物の砂糖漬け / フランス語
フリュイコンフィの製造過程
アプトでのフリュイコンフィの製造過程です。
100℃の沸騰したお湯で茹でます。果物を加熱することで果皮を分解し、糖の透過を促進します。
60° の砂糖液に10日間漬け、砂糖濃度は徐々に濃くしていきます。果物の水分が抜け、シロップが果物内部に染み込んでいきます。
果物の水を切ります。
果物を砂糖の薄い膜で覆います。(オプション)
果物を乾燥させます。
果物の大きさや特徴により、砂糖液に漬ける期間が異なります。
さくらんぼ(bigarreau)は2〜3日、セドラ(cédrat)のような大きな果物は10〜12日、マンダリン(みかんの一種)は2ヶ月かかります。
果物の細胞内は85-90%が水分で構成されていますが、砂糖液に浸漬しているうちにその水分が砂糖液に置き換わっていきまうす。これにより果物の保存が可能となります。
フリュイコンフィの種類
お菓子への用途
フリュイコンフィの歴史
コンフィは古代オリエントではすでに知られており、古代ローマでは紀元1世紀から、コワンやイチジク、りんご、洋梨、さくらんぼといった果物を保存するために蜂蜜に漬けたものが作られるようになりました。この頃は味を良くするためではなく、保存のために作られました。
南フランスのアプト(Apt)は世界的なフリュイコンフィの産地とされており、中世時代より生産が行われていました。
キリスト教のローマ教皇の座がローマからアヴィニョンに移されていた14世紀には、アプト産のフリュイコンフィが教皇庁へ貢納されていました。
教皇クレメンス6世(1342-1352)もフリュイコンフィが大好きでした。1348年、教皇はアプトの菓子職人アウジアス・マセタ(Auzias Meseta)に、菓子職人の地位 « excouyero in confissarias » を与えました。
15世紀初めの1402年と1404年、アプト市は菓子職人ガスタ(Gasta)とシメオン(Siméon)が市中に店を出すなら税を免除するという記録が残っています。これはフリュイコンフィの製造者が不足していることを証明しています。
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