フランジパーヌはアーモンドを用いたクリームで、タルトやパイ菓子など幅広く用いられます。最近ではクレームダマンドの代わりにフランジパーヌを使うことが増えたように感じます。
この記事では、フランジパーヌのレシピ、タルトへの活用法、フランジパーヌの名前の由来についても解説しています。
フランジパーヌとは?
フランジパーヌはクレームダマンドとクレームパティシエールを合わせたクリームのことです。基本的には、クレームダマンドとクレームパティシエールを2対1で合わせます。
クレームパティシエールはカスタードクリームのことで、卵黄と砂糖、コンスターチに牛乳を加え、軽く火を通して作ります。
タルトに敷き込んだり、パート・フィユテに詰めたりしています。フランジパーヌは以下のようなお菓子に用いれられます。
- タルト・オ・フリュイ(フルーツタルト)
- タルト・ブルダルー(洋梨タルト)
- ガレットデロワ
- ミルリトン
- ピティヴィエ
- クロワッサンオザマンド
これらのお菓子はフランジパーヌだけではなく、クレームダマンドを用いることもあります。

フランス語の名前
- Crème frangipane / Frangipane
-
[クレーム フランジパンヌ]クレームフランジパンヌ、フランジパーヌ / フランス語
« frangipane » は人名に由来する語
フランジパーヌの名前の由来は下記をご覧ください。
フランジパーヌとクレームダマンドの違い
フランジパーヌとクレームダマンドはとても似ているクリームで、同じお菓子に用います。
クレームダマンドは、バターと砂糖、アーモンドパウダー、卵、小麦粉で作るクリームです。
フランジパーヌは、クレームダマンドにクレームパティシエールを合わせたクリームです。どちらのクリームも火を通して用います。
フランジパーヌ = クレームダマンド + クレームパティシエール
フランジパーヌのレシピ
調理時間:40分
冷蔵時間:1時間以上
材料
- クレームダマンド(285g)
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- 無塩バター 75g
- 砂糖 75g
- 薄力粉 10g
- アーモンドパウダー 75g
- 全卵 1個(50g)
- クレームパティシエール(184g)
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- 牛乳 125g
- 卵黄 20g(卵1個分)
- グラニュー糖 25g
- コンスターチ 7g
- 薄力粉 7g
- バターは30分前に冷蔵庫から出しておきます。
- アーモンドパウダーは皮付きでも皮なしでも構いません。
必要な道具
- ボウル
- スパチュール / ヘラ
- 片手鍋
- 泡立て器 / ハンドミキサー
- ラップ
- 皿
フランジパーヌの作り方
まず、クレームパティシエールを準備して冷やし、クレームダマンドを作り、ふたつのクリームを合わせます。
片手鍋に牛乳を入れ、中火にかけます。沸騰させないように温めます。
牛乳を温めている間に、ボウルに卵黄と砂糖を入れ、泡立て器ですり混ぜます。ボウルの側面に泡立て器をあて、ぐるぐると円を描くように混ぜます。

卵黄と砂糖の生地が白っぽくなったら、薄力粉とコンスターチを加えてすり混ぜます。白っぽくもったりとした生地になります。
牛乳が沸騰したら、1/3量をボウルに流し入れ、泡立て器で混ぜます。牛乳が混ざったら、ボウルの液を鍋に戻します。

片手鍋を中火にかけながら、泡立て器で混ぜていきます。 はじめはさらっとした液体ですが、次第に生地にとろみがついてきます。生地が重くなりますが、止めずに混ぜ続けましょう。
混ぜ続けているとクリームが沸騰して「ポフッ」と気泡がでてきます。その気泡ができてから、1分間火にかけたまま混ぜ続けます。これでクレームパティシエールの出来上がりです。

鍋を火から外し、ラップの上にクリームを流し入れます。ラップで密封して、冷蔵庫で1時間以上冷やします。
急速に冷やしたい場合は、カスタードクリームをなるべく薄く平らにしてラップに包みます。クリームの上下にアイスマットを置き、冷蔵庫に入れて冷やします。

ボウルにバターを入れ、スパチュールでやわらかく滑らかになるまで混ぜます。バターが固いためスパチュールで力強く混ぜます。
バターが固い場合は、指をつかって混ぜてもかまいません。体温によってバターが温まり混ぜやすくなります。
バターはやわらかくなりすぎないように注意しましょう。
砂糖を加えます。スパチュールを使ってバターとしっかりと混ざり、ふんわりとしたクリーム状になるまで混ぜます。
泡立て器を使うと空気が入りすぎて、焼くときに膨らんでしまいます。

小麦粉とアーモンドパウダー、卵を加え、スパチュールで混ぜます。全体にムラがなくなったら、できあがりです。

冷やしたあとのクレームパティシエールはかたくて滑らかではないため、使用前に泡立て器で混ぜます。
冷蔵庫から出したばかりのクレームパティシエールをボウルに入れ、泡立て器ですり混ぜます。クリームにつやが出て、なめらかになるまで混ぜます。
ハンドミキサーを用いて混ぜると、空気を含んだふんわりとしたクリームになります。

クレームダマンドとクレームパティシエールの重さをそれぞれ計ります。これらは2:1で合わせるのが基本です。
クレームダマンド:クレームパティシエール=2:1
クレームダマンド285gとクレームパティシエール142gを混ぜ合わせます。

保存期間・保存方法
フランジパーヌはしっかりとラップなどで密封し、冷蔵庫で保存してください。
消費期限は作ってから48時間以内です。
タルトへの活用法
フランジパーヌはタルトの土台として用います。
タルト生地にフランジパーヌとフルーツを一緒に焼く方法と、タルト生地とフランジパーヌを先に焼き、後にフルーツを飾るという方法のふたつがあります。
フランジパーヌとフルーツを一緒に焼くタルトはフランスでは定番です。
タルト・ブルダルーやタルトアマンディーヌ、ミルリトン、コンヴェルサシオン、ジャルジーなどのタルトはタルト生地と一緒にオーブンで焼きます。
ここでは、タルト・ブルダルーを例に挙げて説明します。



タルト・オ・フリュイはタルト生地にクレームダマンドを敷いて焼き、クレームパティシエールを絞ってフルーツを飾るのが一般的でした。
最近では、タルト生地にフランジパーヌを敷いて焼き、ナパージュやコンフィチュールを塗ってフルーツを飾るタルトがよく見られます。
フランジパーヌを土台とするタルトは、クレームパティシエールは加えません。主にタルト・オ・フリュイで用いられます。
現在のフランスではこのフランジパーヌを土台とするタルトも増えているように感じます。
ここでは、タルト・オ・フレーズ(いちごタルト)を例に挙げて説明します。



ジャムは塗らなくても構いません。

いちごを並べます。

ガレットデロワやピティビエなどのパート・フィユテ生地に詰める場合は、クレームダマンドとフランジパーヌのどちらも使うことがありますが、フランジパーヌを使うことが多くなっているようです。
フランジパーヌの名前の由来
フランジパーヌは人名に由来する名前です。
16世紀、カトリーヌ・ド・メディシスの時代にフランスに伝わったと言われています。その由来にはさまざまな説がありますが、フランジパーニ家(Frangipani)の名前から来ていることは事実として一致しています。
「フランジパーニ」はビターアーモンドのエッセンスの香りから名付けられたと言われています。そのエッセンスは手袋や靴、容器、コルセットなどに香りをつけるのに用いられていました。それを考案したのはローマの王子セザール・フランジパーニ(César Frangipani)です。
もうひとつの説は17世紀のフランス、ルイ13世の治世下、フランス元帥ポンペオ・フランジパーニ侯爵(Pompeo Frangipani)によって発明されたとされています。フランジパーニの香りは、侯爵の手袋に使われていたとされています。この香りがあまりにも人気だったため、あるパティシエがそれを自分の料理に取り入れました。
1651年、料理人ラ・ヴァレンヌ(François Pierre de La Varenne)は、パート・フィユテにアーモンドをベースにしたクレームパティシエールを詰めたフランジパーヌのレシピを記しています。
同様に、フランシパーヌ(Franchipane)という名称で、クレーム・ダマンドと砕いたピスタチオのトゥルトが紹介されています。
この時代に現在のフランジパーヌと同じようなクリームが考案されていますが、18世紀移行にはアーモンドは使われず、大きく変化していきます。
18世紀の『百科全書(L’Encyclopédie)』の中では、「フランシパーヌ(Franchipane)は卵黄と砂糖、レモンの皮、オレンジ水などを合わせたクリームで作った料理」と定義しています。
19世紀にはアーモンドは加えるものの、オレンジの花のエキスを加えたり、ピスタチオに置き換えられたりしました。
このように、時代によりフランジパーヌの中身は変化してきました。現在では16世紀と同様にアーモンドとクレームパティシエールを合わせたクリームになりました。
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