カヌレは縦に12本の溝のはいった円柱型で焼いた焦げ茶色のお菓子です。フランス南西のボルドーで生まれた地方菓子です。

牛乳や小麦粉、砂糖や卵をまぜた液に、ラム酒やバニラで香りをつけて型に流して焼きます。型にはミツロウを塗ることで、表面に艶がでてかりっとした食感になります。

目次

名前

Cannelé / Canelé

[kanle] カヌレ / フランス語

構成

分類パティスリー/プチガトー
構成カヌレ生地
材料小麦粉



バター

砂糖

牛乳

ミツロウ

バニラ

誕生した時代・場所・人物

時代20世紀前半
フランス
地方ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏
ボルドー
人物不明

歴史・由来

カヌレはフランスのボルドーで作られるようになりました。

ボルドーではワインの生産が盛んで、ワインを造る行程中に澱をとるために卵白をつかうため、余った卵黄でカヌレをつくったという説。また、ボルドーの港に外国からラム酒やバニラなどの食材が入ってきたため、ボルドーでカヌレ作りが盛んになったともいわれています。

しかし、カヌレが誕生した由来については何も分かっていません。

18世紀にカヌレはボルドーのアノンシアルド修道院で作られるようになったと言われています。

その修道院の尼僧たちは、アーモンドやノワゼットなどのナッツ類、シナモンやギリシアのコリントス産の干しぶどう、オレンジ皮などをつかい甘いお菓子をつくっていました。その中に棒状の形の小さなお菓子がありました。このお菓子のことをカヌラ(Canelats)やカヌレ(Canelets)と呼んでいました。

材料の請求書は残っていますが、型やレシピが残っていないため、カヌレが今の形かどうかは分かっていません。1990年代におこなった発掘調査でもレシピや型は出てこなかったそうです。

1771年に刊行された辞書のなかにカノル(Canole)という言葉がでてきます。これは小麦粉と卵黄をつかった小さなパンで、リモージュという町で朝食として食べていると書かれています。

いづれも「カヌレ」に近い名前は出てくるのですが、今のカヌレと同じものかは分かっていません。

19世紀に入ると、カヌロン(Cannelons)というお菓子が登場します。1815年に有名な菓子職人カレームが書いた『パリの王宮パティシエ、または基礎概論と古典と現代のパティスリー実践』のなかにカヌロンのレシピが載っていました。カヌロンは折込パイ生地をのばして、フルーツのマーマレードを塗って包み、揚げたお菓子でした。

さらに、1873年、パリの料理人であるジュールズ・グーフェが書いた『パティスリーの本』に再度カヌロンが出てきます。しかし、前述のカレームと同じものではなく、折込パイ生地にサントノレクリームを塗って巻いて、棒状にしてオーブンで焼いたものでした。

いづれにせよ、今のカヌレとはまったくの別物でした。それ以降、カヌレという言葉は見られなくなりました。

第一次世界大戦後、現在のカヌレと同じような形のお菓子が作られるようになりました。パティシエが昔のレシピをベースにして、現代風にアレンジしてラム酒やバニラで香りをつけ、現在と同じカヌレ型をつかって焼きました。

しかし、誰が考案したのかは分かっていません。

昔から作られていた「カヌレ」っぽいお菓子の名前をとって、ボルドーの特産のワインを作る際に余る卵白をつかい、ボルドー港に到着するラム酒やバニラを加えて新たな「カヌレ」というお菓子をつくったのかもしれません。

参考にした本

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