パティスリーの1年間と1週間のスケジュールを仕事の量やお客さんの数についてまとめました。フランスではいつが忙しくて、いつ落ち着くのでしょうか?
わたしが働いたことのあるパティスリー(ショコラティエ・ブーランジュリー)は以下の通りです。その経験を踏まえて書いています。
- 街中にある有名店:観光客や地元の客でいつも賑わっている
- 郊外にある有名店:地元の客で賑わっている
- 観光地にある店:地元の客よりも観光客の方が多い
- 住宅街にある店:地元の客100%
フランスのバカンス事情
フランスのパティスリーのお客さんの数はバカンスに大きく影響されます。
働いている人は年間5週間(30日間)のバカンスという名の有給休暇があります。また、幼稚園や小学校、中学校、高校、大学やその他の学校にもバカンスがあります。基本的に高校生以下は11月上旬・12月末(クリスマス)・2月・4月に2週間ずつ、7月〜8月に8週間ほどあります。
働いている人はバカンスはある程度希望の時期に取ることができますが、子供のバカンスと合わせて取ることもあります。なので、学校のバカンス時期にどこかへ出かけることも多くあります。
このバカンスは観光地以外にある店では客数が減ります。
パティスリーの1年間のスケジュール
パティスリーの1年間の大まかなお客さんの数と仕事量(製造量)についてまとめました。フランスの新学期である9月から書いています。
夏のバカンス終了
7月から8月にかけてのバカンス時期が終わり、子供たちも学校に戻っていき、日常が戻ってくる感じがします。
上旬はお客さんの動きは鈍いものの徐々にお客さんの数が増えていく兆しを感じます。
しかし、税金の支払い月のため、下旬にはお客さんの数も客単価も鈍くなります。
日常が戻ってくる時期
10月はバカンスもなく、夏のバカンスが終わって1ヶ月ほど経ってようやくのんびりした雰囲気から日常に戻る時期です。お客さんは比較的多い時期になります。
繁忙期
11月に入ると、寒くなるし曇りの日が続くどんよりした天気になります。肌寒くなると甘いお菓子やチョコレートが食べたくなりますし、温かい飲み物も飲みたくなります。よって、お客さんの数は増えます。
しかし、11月の上旬のバカンス中は客数は伸び悩みます。バカンス後にはクリスマス時期も迫ってくるため、お客さんの数も客単価も大きく伸びます。
この時期は12月のクリスマス時期に備えるために、チョコレートを製造しまくっています。
大繁忙期
クリスマス前の時期がパティスリーにとって1年で一番の繁忙期になります。11月末からお客さんの数が増えていき、クリスマス直前でピークを迎えます。お客さんの数も客単価も爆発的に伸びて、むちゃくちゃ忙しいです。
店によっては、1日12時間以上働いていて、深夜に帰宅して早朝に出勤するという日本人みたいな働き方をしている人も出てきます。
12月6日にはサン=ニコラのブリオッシュが売れ、その後はチョコレートが売れ、大きな店では何トンものチョコレートが売れます。とにかく、この時期は甘いものを食べるのが許されたかのように、ケーキや焼き菓子など全ての甘いものが売れます。
繁忙期に陰り
クリスマス後の年末年始でやや客数が落ちますが、すぐにエピファニーが来て、大忙しになります。この時期はガレットデロワのみ売れると言っても過言ではないくらいです。
ガレットデロワ熱が終わると、お客さんはすごく少なくなります。11月からクリスマスにかけてお菓子をたっぷり食べすぎたので控えているのかもしれません。
ラマダン&バカンス到来
ラマダンとはイスラム教徒にとっての断食の期間のことで、2月〜3月くらいの4週間にあたります。イスラム教徒はフランス国内に多くおり、日が昇っている間は水も含めての飲食が禁止されています。
よって、イスラム教徒が多く住んでいるフランスではパティスリーへの来店もほぼなくなります。
そして、2月には学校のバカンスが2週間あり、ラマダンと含めて客足は伸び悩みます。
2月にはマルディグラのお菓子ビューニュがこの時期だけ販売されたり、バレンタインデーのためのチョコレートやケーキもあるのですが、客足にさほど大きな影響は与えません。
この時期には、復活祭のチョコレートの準備をしています。
通常期
ラマダンもバカンスも終わり、パティスリーがようやく活気を取り戻す時期です。ラマダンが終わった直後にはお客さんが一時的に増えます。
2月に引き続き、復活祭のチョコレートの準備をしています。
大繁忙期再び
4月には復活祭があり、クリスマスと同様にチョコレートが売れ、パティスリーにとって重要な時期です。クリスマスと復活祭で1年間の売上のほとんどを占めると言われるほどです。
クリスマスとは異なり、よく売れるのはチョコレートだけで、ケーキや焼き菓子類は落ち着いています。チョコレートは卵や鶏の形をしたものやボンボンショコラ、タブレットなど全てのチョコレートが売れます。
チョコレートを置いている店は繁忙期になるのですが、パティスリーだけの店はそこまで忙しくはないです。しかも、4月の復活祭の時期には学校バカンスもあるので、客足は鈍くなります。
閑散期
ショコラティエでは復活祭が終わり閑散期が訪れます。5月〜6月の時期に従業員がバカンスを取ったり、時短営業をすることもあります。
なので、大型の冷凍施設のある店では、クリスマス用のケーキの土台を作ることもありました。
パティスリーでは旬の苺やフランボワーズなどの赤い身の果物を使ったケーキが売れるようになります。パティスリーがカラフルに鮮やかになる季節です。一方、チョコレートを使ったケーキは売れなくなり、アイスなどの冷たいデザートが売れ始めます。
通常期
6月はバカンスもなく、通常な営業体制となります。徐々にアイスクリームなどの冷たいデザートが売れ始めるようになり、ケーキ類の売り上げが下がります。
気候もよく気温が高くなるため、チョコレートが敬遠されるようになります。
バカンス始まる
7月に入ると夏のバカンスに出発する人が出始め、お客さんが少なくなるのを感じます。特に、フランス革命記念日の7月14日を過ぎるとすごく静かになります。
家庭ではデザートに旬の果物(メロンやスイカ、桃)などを食べることが増え、ケーキ類はあまり食べなくなるようです。夏の時期にはアイス屋さんに長蛇の列ができています。
バカンス最盛期
8月に入るとさらにバカンスに出発する人が増え、ガラガラの閑散期に入ります。町中もすごく静かになります。8月に多くのパティスリーは店を閉めバカンスに入ったり、従業員も交代でバカンスを取ります。
この時期はケーキ類よりもアイスやグラニータなどの冷たいものが多く売れます。
以上が、1年間のパティスリーのスケジュールです。
学校バカンスに影響されるのは主に住宅街にあるパティスリーで、有名店ではあまり影響を受けないこともあります。有名店では学校バカンス中には観光客が、通常時には住民が来店するようになっています。
パティスリーの1週間のスケジュール
パティスリーは一般的に月曜日に定休日にしているところが多いです。火曜日から土曜日までは通常営業していて、日曜日は休業日もしくは午前中(12時半〜13時)だけ営業しているところもあります。
また、祝日は日曜日と同様に休業、もしくは祝日によっては半日営業をしています。
定休日
月曜日は定休日のところが多いです。
開店している場合、前日が休業日なため製造する商品が多く、キッチンは忙しいです。お客さんの数は多くはなく落ち着いています。
週で最も静かな日
月曜日が定休日の場合、火曜が週の始まりなため製造する商品が多く、キッチンは忙しいです。しかし、火曜日は比較的お客さんの少ない日です。
学校が休みな日
水曜日は幼稚園と小学校低学年で授業がなく、学校が休みな日です(地域による)。そのため、親も子供の面倒を見るために仕事を休むことがあります。そのため、パティスリーにもお客さんが増えます。
平日では比較的忙しい日となります。
まあまあ静かな日
木曜日は火曜日に次いで静かな日です。
比較的忙しい日
金曜日は週末の前日ということで、お客さんがぐんと増えて忙しくなります。水曜日よりも忙しくなります。
金曜日なので、疲れて自分で料理したくないっていうお客さんが惣菜や甘いものを求めているって感じがします。
最も忙しい日
1週間で一番忙しい日です。多くの商品を準備し、販売員もいつもよりも多めに配置しています。
特に、快晴で気温のいい日だとお客さんがかなり増えます。
午前中のみ
店によっては日曜日の午前中に開けていることもあります。日曜日の朝食にヴィエノワズリーやランチのデザートにケーキを買ったりする人で賑わいます。10時半から11時半がピークです。
ただし、午前中しか営業しないので、製造量は限られます。翌日は定休日なため廃棄が出なく売り切るくらいの数を作ります。
このように、曜日によってお客さんの入りが違ってきます。土曜>金曜>水曜>月曜=木曜=火曜の順にお客さんの数が多くなります。
有名店や観光地にある店の場合は、少し事情が変わるかもしれませんが、上記のような流れで1週間が進みます。土曜が一番お客さんが多くて週の木曜日までは比較的静かです。
でも、雨が降ったり曇ったりと天気が悪いと、客足は鈍くなります。前日まで天気が悪かったけれど、天気がすごく良くて外出しやすい気温の土曜日だとお客さんの数が大爆発することもあります。
パティスリーの繁忙期と閑散期はいつ?
このようにフランスのパティスリーでは、バカンスにものすごく影響されると言っても過言ではありません。2ヶ月に2週間ずつ学校バカンスがあるため、その度にお客さんの数が減ります。
さらに、1週間では金曜と土曜日以外は比較的落ち着いています。さらに、天気にも大きく左右されます。
よって、繁忙期はクリスマス前と復活祭の時期の2ヶ月ほどです。1週間では土曜日がダントツで繁盛します。それ以外は比較的落ち着いている感じはします。
もちろん、やるべき仕事はたくさんありますが、仕事に追い回されている感じはしません。繁忙期以外は比較的人間らしい生活ができます。(日本と比べて)
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