cacao カカオ豆
品詞 | 名詞 |
名詞の性 | 男性名詞 |
定冠詞 | le cacao |
部分冠詞 | du cacao |
発音 | カカオ |
カカオ豆の産地
チョコレートの原料であるカカオ豆は世界でも限られた地域でしか生産されません。
同じ品種でも土地や環境の影響によって個性が異なるカカオ豆になります。カカオには3つの品種であるクリオロ・フォラステロ・トリニタリオも育てる場所が違うと味わいや風味が異なるカカオ豆になるのです。
今回は、カカオ豆を生産できる国とその特徴を紹介します。
カカオが栽培できる条件

カカオの樹が育つ環境には条件があります。まず、高温多湿の熱帯で、赤道をはさんで北緯20度から南緯20度までに限られます。そのエリアのことをカカオベルトっていいます。
さらに、高度30〜300mで、年間平均気温が約27℃で気温差が小さく、年間降水量は1000mm以上であることといった条件が必要です。カカオを生育するのには、地域がかなり限定されます。
カカオ豆の原産地
この細かい条件を満たすのは、中南米、西アフリカ、東南アジアです。
主な生産国は、アフリカのコートジボワールやガーナ、ナイジェリアやカメルーン、中南米ではエクアドルやブラジル、東南アジアではインドネシアなどが挙げられます。この7カ国で世界の総生産の9割ほどを占めています。
世界のカカオ豆生産国(2016年推定)
カカオ豆を生産している国ベスト7です。この7カ国で全体の9割を占めています。
順位 | 生産国 | 単位(万トン) |
---|---|---|
1 | コートジボワール | 1650.0 |
2 | ガーナ | 800.0 |
3 | インドネシア | 320.0 |
4 | エクアドル | 220.0 |
5 | カメルーン | 220.0 |
6 | ナイジェリア | 190.0 |
7 | ブラジル | 180.0 |
[ 参照:日本チョコレート・ココア協会 ]
そのほかには、ウガンダ、コロンビア、ドミニカ共和国、メキシコ、ペルー、ベネズエラ、インド、パプアニューギニアなど約50の国々でカカオ豆を生産しています。
現在では、アフリカが約300万トン、中南米が約67万トン、アジア・オセアニアで約40万トン、合わせて約400万トンが生産されています。
カカオ豆は多くの国で生産されていますが、味わいは産地により異なります。
カカオ豆の種類

カカオの風味や香りは、カカオの樹の種類や栽培地域、発酵方法によって異なります。基本的には、クリオロ種・フォラステロ種・トリニタリオ種という3種類に分けられます。アリバ種、ナシオナル種はフォラステロの派生種です。
クリオロ種(Criollo)
クリオロ(Criollo)とはスペイン語で「自国のもの」「その土地生まれ」という意味があります。原産地は南米のアマゾン川上流といわれていますが、メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズあたりの中米地域で栽培されていたという記録が残っています。
病害に対する抵抗力がとても弱く、栽培するのが困難で現在では絶滅に瀕しており、幻のカカオといわれています。生産量は全体の3%以下と非常に希少なカカオの品種です。
クリオロ種のカカオ豆の形は細長くふっくらとしていて、白・黄紫色をしています。香りは繊細でフルーティーな香りがして、苦みが少なくマイルドな味わいがします。
希少なカカオ豆ですが今では、ベネズエラ・メキシコの中米地域やアジアの一部で生産されています。
フォラステロ種(Forastero)
フォラステロ(Forastero)とは、スペイン語で「よその土地の」「よそ者」という意味があります。原産地は南米のアマゾン川上流地域やベネズエラのオリノコ川流域といわれています。
生長がはやく、病気や害虫への抵抗力が強いので栽培がしやすい品種です。
フォラステロ種のカカオ豆はやや小粒で丸く、濃い褐色をしています。はっきりとした刺激的な香りがして、渋みと苦みが強くコクのある味わいがします。
世界での生産量は85%を占めていて、ベースビーンズとして用いられています。主に、西アフリカ一帯やブラジル、エクアドルで生産されています。
アリバ種 Arriba / ナシオナル種 Nacional
フォラステロの派生種としてアリバ種(Arriba)、またはナシオナル種(Nacional)もあります。アリバとは現地の言葉で「川の上流」という意味です。
アリバ種とはフォラステロ種の一種ですが、エクアドルのみに生息する固有種です。ジャスミンのような甘い花のような香りをもち、ナッツのような苦みがあります。
アリバ種は生産地が限られているかなり希少なカカオ豆です。
トリニタリオ種(Trinitario)
トリニタリオ種(Trinitario)とはクリオロ種とフォラステロ種の交配でできた品種のことです。カリブ海のトリニダード島(スペイン語:Trinidad)で生まれたことからトリニタリオと名前がつけられました。
クリオロ種とフォラステロ種の中間的な性質をもっていて、栽培しやすく質が良いのが特徴です。豆の形や色、香りや味わいもさまざまで、繊細でねっとりとしています。
世界での生産量は10〜15%程度で、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーン、スリランカなどのアフリカ地域、インドネシア、パプアニューギニアなどのアジア、ブラジルなどで生産されています。
カカオ豆は以上の3つの種類あり、さらにそれぞれの産地や発酵方法などで味わいや香りが異なってきます。メーカーやショコラトリーがそれぞれの特徴をふまえた上で、カカオ豆をブレンドすることでチョコレートの味が異なってきます。
日本はどこのカカオ豆?

わたしたちが普段食べているチョコレートはどこの国のカカオ豆を使っているのでしょうか。
日本は主に西アフリカのガーナ、中南米のエクアドルとベネズエラの3カ国からカカオ豆を輸入しています。全体で63,000トンで、そのうち77%がガーナ産となっています。(2016年)
ガーナ産カカオの特徴
ガーナではフォラステロ種のカカオ豆を生産していて、酸味・苦み・渋みがバランスがとれているため誰からも好かれる味をもつカカオです。また、豊かなコクがあり、余韻の残る香ばしさがあり、品質が安定しているといわれています。日本人が最も慣れ親しんでいるチョコレートの味です。
エクアドル産カカオの特徴
エクアドル産カカオ豆はは独特な香りをもち、カカオ感が強く品質が非常に高いといわれています。主にはフレーバービーンズとして使われていて、花のような香りが特徴で、口の中で華やかな香りのあとに、適度な渋みが続きます。
エクアドルのアリバ種のカカオ(76%)を使用したダークチョコレートです。
アリバ種とはエクアドルのみに生息する固有種で、フォラステロ種の一種ですが、ジャスミンのような甘い花のような香りやナッツのような苦みがあります。生産地が限られているかなり希少なチョコレートです。アリバとは現地の言葉で「川の上流」という意味をもっています。
ベネズエラ産カカオの特徴
中南米のベネズエラでは希少なクリオロ種のカカオを多く生産しています。このクリオロ種のカカオは雑味が少なく、酸味・渋み・苦みのバランスがとれ、ほのかにローストしたナッツのような香ばしい香りがあるのが特徴です。
日本が輸入しているカカオ豆は全体的に高品質のものが多いのが特徴です。わたしたちが日常的に食べているチョコレートはそもそもカカオ豆の品質が高いものだったんですね。
また、上記で紹介したカカオ生産の主要国でない国でも、少ないながらもカカオを生産しています。生産量は少ないので希少なチョコレートといえます。
希少なカカオ産地のチョコレート

では、希少な生産国によるカカオ豆の特徴を紹介します。今、注目されている産地のチョコレートです。
マダガスカル産カカオの特徴
アフリカの南東に位置する島国マダガスカルでは7500トンしか生産されていませんが、赤や黄色の果実のようなフルーティーな香りとすっきりとした酸味が特徴のカカオです。やわらかい苦みと渋みがあり、果物との相性がぴったりと合います。
こちらはマダガスカル産カカオ100%で作ったチョコレートです。かなりカカオ感の強いチョコレートで甘味はほとんどありませんが、マダガスカル産カカオの風味が十分に味わえます。
ブラジル産カカオの特徴
ブラジルのアマゾン川上流はカカオの原産地といわれていました。かつてはクリオロ種が栽培されていましたが、病害によってカカオ農園が全滅し、現在はトリニタリオ種が中心となっています。
ブラジル産のカカオは強い苦みと渋み、ほどよい酸味をもっています。また、口溶けはクリーミーで濃厚な風味が残ります。
コーヒーに似ているところがあり、ダークな味わいで男性的な雰囲気があります。
コロンビア産カカオの特徴
主にコロンビアはクリオロ種のカカオが栽培されています。
まず、ベリー系の酸味,その後にスモーキーな香りが広がります。この風味はコロンビアの産地によっても異なるため、バリエーションのある難しい味わいといえます。
キューバ産カカオの特徴
キューバ産のカカオには軽い酸味があり、キューバの特産である葉巻や樹木のような香りが特徴的です。生産量はかなり少ないので希少なカカオで、個性的な味わいなので最近注目を浴びています。
ドミニカ共和国産カカオの特徴
ドミニカ共和国のカカオ豆は独特の発酵したような酸味があり、ほんのりとスパイシーな香りが特徴です。ラム酒とあわせても負けないくらいの強いインパクトとコクを持っています。
ベトナム産カカオの特徴
ベトナムは近年国を挙げて積極的に生産している国です。ほとんどはトリニタリオ種ですが品種改良が進んでおり,さまざまな中間種が存在しています。味はベリー系の酸味にナッツの風味,土の香りなどが特徴をもっています。
こちらは純粋にカカオと砂糖だけから作った完全無添加のダークチョコレートで、バニラや香料類も一切使っていないベトナム産チョコレートです。一つの産地からのカカオだけしか作らない完全な「シングルオリジン」です。
今回は、カカオ豆の生産国と産地の違いによる特徴を紹介しました。産地による特徴の違いを知ると、チョコレートを食べるのがますます楽しくなります。チョコレートを選ぶ際にはぜひ参考にしてみてくださいね。
関連語
- le cacaoyer(カカオイエ) カカオの木
- le cacaotier(カカオティエ) カカオの木
- la cabosse(カボス) カカオの実
- la fève de cacao(フェーヴ ド カカオ) カカオ豆
- le grain de cacao(グラン ド カカオ) カカオ豆
- le grué de cacao(グリュエ ド カカオ) カカオニブ(焙煎後のカカオ豆を砕いたもの)
- la pâte de cacao(パート ド カカオ) カカオマス
- la théobromine(テオブロミーヌ) カカオ豆に含まれているアルカロイドという成分
- le beurre de cacao(ブール ド カカオ) カカオバター
- le cacao en poudre(カカオ アン プードル) カカオパウダー
- la poudre de cacao(プゥドル ド カカオ) カカオパウダー
- le gianduja(ジャンデュヤ) ジャンドゥーヤ:焙煎したヘーゼルナッツやアーモンドのペーストをチョコレートと合わせたもの
- la pâte à glacer(パータ グラセ) コーティング用チョコレート:カカオパウダーや砂糖、植物性油脂を加えて作り、グラサージュや糖衣のコーティングなどに用います
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