ブリオッシュ

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ブリオッシュは酵母を加えて膨らませた生地で作る甘いパンのことです。

卵やバター、砂糖を加えるためふわふわとして甘みがあり、日本の柔らかいパンにも似ています。中に詰め物をしないものや、チョコレートやプラリネなどを詰めたブリオッシュがあります。

食事のパンでは小麦粉と水と塩のみで作るものがほとんどですが、ブリオッシュは卵とバターを多く加えリッチな味わいなっています。ブリオッシュやクロワッサン、パン・オ・ショコラなどの甘いパンはヴィエノワズリーといい、パティスリーにも置いてあります。

目次

フランス語の名前

Brioche

[bʁijɔʃ] ブリオッシュ / フランス語

ブリオッシュの構成・材料

分類ヴィエノワズリー/菓子パン
構成発酵パン生地/ブリオッシュ生地
材料小麦粉
全卵
バター
砂糖

酵母

ブリオッシュの種類

Brioche nature

[ブリオッシュ ナチュール]プレーンブリオッシュ / フランス語

生地以外に何も加えていないプレーンなブリオッシュのこと。

Brioche boule

[ブリオッシュ ブール]丸いブリオッシュ / フランス語

丸く丸めたブリオッシュのこと。

Brioche parisienne

[ブリオッシュ パリジェンヌ]パリのブリオッシュ / フランス語

大きな生地を土台にして、その上に小さな生地をのせて焼きます。« Brioche à tête » ともいいます。

Brioche à tête

[ブリオッシュ ア テット]頭のついたブリオッシュ / フランス語

大きな生地を土台にして、その上に小さな生地をのせて焼きます。上の小さな生地が頭のように見えます。« Brioche parisienne » ともいいます。

Brioche tressée

[ブリオッシュ トレッセ]三つ編みブリオッシュ / フランス語

生地を三つ編みにした比較的大きめのブリオッシュです。

Brioche au sucre

[ブリオッシュ オ シュクル]砂糖味のブリオッシュ / フランス語

丸く成形し、表面を十字に切り込みを入れ、あられ糖をたっぷりふったブリオッシュのこと。

Pain au lait

[パン オ レ]牛乳パン / フランス語

生地に牛乳を加えてつくるブリオッシュのこと。

ブリオッシュ生地でつくるヴィエノワズリー

Brioche au chocolat
ブリオッシュ・オ・ショコラ brioche au chocolat
ブリオッシュ オ ショコラ

[ブリオッシュ オ ショコラ]チョコレートのブリオッシュ / フランス語

チョコレートチップを練り込んだブリオッシュのことで、ブーランジュリーの定番です。

Brioche aux raisins

[ブリオッシュ オ レザン]レーズンパン / フランス語

干しぶどうを詰めてつくるブリオッシュのこと。

Brioche aux pralines rouges

[ブリオッシュ オ プラリーヌ ルージュ]赤いプラリーヌ入りブリオッシュ / フランス語

リヨンを中心としたローヌ・アルプ地方由来の赤色のプラリーヌを練りこんだブリオッシュのこと。

Pain viennois

[パン ヴィエノワ]パンヴィエノワ / フランス語

「ウィーンのパン」という意味で、細長く成形し、表面に斜めにクープを入れたブリオッシュのこと。チョコレートチップを加えることもあります。« Baguette viennoise » ともいいます。

Baguette viennoise

[バゲット ヴィエノワーズ]バゲットヴィエノワーズ / フランス語

「ウィーンのバゲット」という意味で、バゲット状に成形して、表面に斜めにクープを入れたブリオッシュのこと。チョコレートチップを加えることもあります。« Pain viennois » ともいいます。

Pain suisse

[パン スイス]パンスイス / フランス語

「スイスのパン」という意味ですが、スイス由来ではありません。クレームパティシエールとチョコレートチップをはさんだブリオッシュのこと。

ブリオッシュ生地を使ったお菓子

Brioche feuilletée

[ブリオッシュ フォイユテ]ブリオッシュフォイユテ / フランス語

バターの入ったブリオッシュ生地にバターを折り込み、ねじって型に入れて焼いたお菓子。表面に折込生地のうねりが出ているのが特徴です。2008年ごろの考案された比較的新しいお菓子です。

プレーンが定番ですが、チョコレートやプラリネを練り込んだブリオッシュフォイユテもあります。

Bostock

[ボストック]ボストック / フランス語

スライスしたブリオッシュにシロップをまぶし、クレームダマンドを塗り、アーモンドスライスをふって焼いたお菓子のこと。

Mannala

[マナラ]マナラ / フランス語

マナラとは人形パンのことで、目や口、帽子、洋服のボタンなども干しぶどうやチョコレートでつくります。

アルザス語で「小さな男の子」という意味で、全国的に12月6日のサン=ニコラの日に食べます。

ブリオッシュでつくる地方菓子

Brioche Nanterre

[ブリオッシュ ナンテール]ナンテールのブリオッシュ / フランス語

ブリオッシュ・ナンテールは山型のブリオッシュのことで、パリ近くのナンテール市で誕生しました。

Cramique

[クラミック]クラミック / フランス語

ベルギーを中心に北フランスやルクセンブルグでみられる干しぶどう入りのブリオッシュのこと。ブリオッシュ生地に干しぶどうを加えて、食パン型で焼き、あられ糖を表面にまぶすこともあります。

Panettone

[パネトーネ]パネットーネ / イタリア語

イタリア・ミラノ発祥で、ブリオッシュに干しぶどうやフルーツコンフィを加えてつくられるクリスマスのお祝い用のブリオッシュです。

Kouglof

[クグロフ]クグロフ / フランス語

発酵生地でつくったブリオッシュに干しぶどうを混ぜて、アーモンドを表面に飾り、縦溝のある王冠型で焼いたブリオッシュのこと。

ドイツ南部起源で、フランスの東部アルザス地方で伝統的に作られており、スフレンアイム村の陶器製のクグロフ型が有名です。

Babka

[バブカ]バブカ / ポーランド語

ポーランド由来で、干しぶどうを加えて、縦溝のある王冠型で焼いたブリオッシュのこと。クグロフと同じ型と生地でつくります。

現在ではチョコレートを練り込んだブリオッシュ生地でつくるバブカが有名です。

Pogne de Romans

[ポーニュ ド ロマン]ポーニュ ド ロマン / フランス語

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ロマン=シュル=イゼール由来の大きなドーナツ状のブリオッシュのことオレンジの花の水で香り付けしているのが特徴です。

Coque

[コック]コック / フランス語

オレンジの花の水を加えて作るブリオッシュのこと。長方形のパンをくっつけることで凸凹とした形となり、ラクダのコブを表しています。

起源は3世紀にまで遡り、オクシタニー地域圏にある町ベジエで作られています。

Gâteau des rois

[ガトー デ ロワ]ガトーデロワ / フランス語

「王様のお菓子」という意味で、1月6日のエピファニーの時に食べる王冠型のブリオッシュのこと。南西フランスのオキシタニー地方や南部プロヴァンス地方で食べられています。

オレンジの花の水で香りをつけ、フルーツコンフィとあられ糖を飾ります。中にはフェーブが入っており、紙製の王冠がついています。

赤いプラリーヌ入りのブリオッシュ

Praluline

[プラリュリーヌ]プラリュリーヌ / フランス語

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ロワール県のロアンヌに本店のあるプラリュ(Pralus)の看板菓子で、ピンクに色付けしたプラリーヌを詰めて焼いたブリオッシュのことです。

Brioche de Bourgoin-Jallieu

[ブリオッシュ ド ブルゴワン ジャイユー]ブルゴワン=ジャイユーのブリオッシュ / フランス語

ドーナツ状で、赤いプラリネと白い砂糖を飾ったブリオッシュのこと。オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ブルゴワン=ジャイユーで、ルイ11世に敬意を表して考案されました。

Brioche de Saint-Genix

[ブリオッシュ ド サン ジュニ]サン=ジュニのブリオッシュ / フランス語

赤く着色したプラリーヌを詰めて、表面にあられ糖を飾ったブリオッシュのこと。シチリアの聖女アガタの伝説に由来しており、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏サン=ジュニ・シュル・ギュイエで考案されました。

サヴォアの旗の色である赤と白をイメージして、プラリーヌの赤色、あられ糖の白で表現されています。

Gâteau Labully

[ガトー ラブュリィ]ガトーラブュリィ / フランス語

赤く着色したプラリーヌの入ったブリオッシュのこと。オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏サン=ジュニ・シュル・ギュイエにあるパティスリーのスペシャリテです。

サヴォアの旗の色である赤と白をイメージして、プラリネの赤色とあられ糖の白色を用い、ブリオッシュは赤と白の紙で包んでいるのが特徴です。

ブリオッシュ生地のガレット

Galette bressane

[ガレット ブレッサン]ガレットブルッサン / フランス語

丸く伸ばしたブリオッシュ生地に砂糖とバター、生クリームを表面にのせて焼いたガレットのこと。

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ブール=カン=ブレスという町を中心とした「ブレス地方のガレット」という意味です。ブレス地方ではバターや生クリームなどの乳製品が特産です。

Galette de Pérouges

[ガレット ド ペルージュ]ペルージュのガレット / フランス語

丸く伸ばしたブリオッシュ生地に砂糖とバター、生クリームを表面にのせて焼いたガレットで、レモンで香り付けをしているのが特徴です。

ペルージュはオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏にある中世の名残の残る町で、1912年に考案された地方菓子です。ペルージュは最も美しい村の一つとしても有名です。

ブリオッシュが誕生した由来

ブリオッシュの発祥は16世紀のフランス北西に位置するノルマンディー地方といわれています。

ノルマンディー地方は昔から酪農が盛んで、牛乳やバターやチーズが豊富につくられていました。

食事用のパンは小麦粉と水と塩と酵母だけで作られていました。ノルマンディー地方の人々は、その素朴なパンに特産の牛乳やバターや卵を加えてパンを作っていました。バターなどの乳製品や卵を加えると、生地がやわらかくなり味わい深くなります。

お菓子の基本的な材料は小麦粉・バター・卵・砂糖ですが、ブリオッシュも同じ材料をつかいます。この頃、ブリオッシュはお菓子とみなされていました。

1694年に書かれた本の中に、Brioche(ブリオッシュ)という言葉が使われたという記録が残っています。すでにこれ以前にはブリオッシュという名前で呼ばれていました。

中世時代には教会で祝福パンとしてブリオッシュが使われていました。祝福パンとはカトリック教会で司祭によって祝福され、ミサの後に配られるパンのことです。

正確にいうと、ブリオッシュよりも、ブリオッシュ生地に牛乳を加えた牛乳パン(pain au lait)のほうが多く使われていました。

« Brioche » という名前は、ノルマンディーの古い言葉であるノルマン語で「生地をこねる」を意味する動詞 « brier » から派生したものに、「かき混ぜる」という意味の « oche/ocher » という接尾語をつけて « Brioche » となりました。

もりりん
パティシエ
フランスのパティスリーで働いでいます。フランスの大学の歴史学科で勉強してます。よろしくね
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