ババオラムは、コルク形に焼いたババ生地をラム酒入りのシロップに漬け、ホイップクリームを添えたお菓子です。

レストランのデザートでは、ラム酒が別添えされており、さらにラム酒を振りかけて食べれるところもあります。食後のデザートとしては重そうと感じるかもしれませんが、アルコールが食欲を促進させてくれて意外にもおいしくいただくことができます。

デザートでも提供されますが、パティスリーにも並んでいる定番お菓子です。

目次

名前

Baba au rhum

[babaoʁɔm] ババ オ ロム / フランス語

構成

分類パティスリー/デザート
構成発酵パン生地/ブリオッシュ生地/ババ生地
シロップ
シャンティイクリーム
材料小麦粉

バター
砂糖
酵母
生クリーム
ラム酒

歴史・由来

ババはスタニスラス・レクザンスキ王が案を出したお菓子のひとつです。スタニスラス・レクチンスキとはポーランドの王様およびロレーヌ公で、ルイ15世の妃マリーの父親です。彼はかなりの食いしん坊で、料理やお菓子についても詳しかったそうです。

1736年、スタニスラス王はフランスへ亡命し、ロレーヌ公国の王となり、ナンシーの近くにあるリュネヴィル城に移住しました。

スタニスラス王は食いしん坊な王様として有名で、料理やお菓子についても詳しい知識を持っていました。

彼は小さい頃から母国ポーランドで食べていたブリオッシュが大好きでした。そのブリオッシュとはポーランド語でバブカ Babkaといい、丸くて大きく王冠の形をしていて、中身にはきざんだドライフルーツがちりばめられていました。復活祭の時期にはレモンで香りつけされ、クグロフと同じようなお菓子です。

バブカとはポーランド語で「老婆」や「おばあちゃん」という意味があり、スタニスラス王にとってもおばあちゃんの味でとても懐かしかったのでしょう。

そのお菓子の味が忘れられなかった王は、ポーランドからそのバブカを運んできてもらいました。しかし、その当時は発達した輸送手段はありませんので、当然長時間移動してきたバブカは乾燥してしまいます。

スタニスラス王の娘マリーはフランス王ルイ15世に嫁ぎ、ベルサイユ宮殿で暮らしていました。王は娘のパティシエであるニコラ・ストレーに、この乾燥してしまったお菓子をなんとか美味しくする方法を相談しました。

ストレーはバブカをマラガワインに漬け、中にカスタードクリームとギリシャ産のドライレーズンをはさんで冷たく冷やしたお菓子を作りました。

スタニスラス王はこの新しくなったお菓子にとても満足して、「アリババ」と名付けました。当時、流行っていて王も愛読していた「千夜一夜物語」の登場人物の名前であるアリババから名付けました。このババが作られたのは1725年〜30年とされています。

その後、1730年にストレーはベルサイユ宮殿を去り、パリに自分のパティスリーを開店します。それが2区のモントルグイユ通りにあるストレー(STOHRER)で、現在でも営業しているパリで最も古いパティスリーです。

彼はそのパティスリーでもアリババを作り、「ババ」と名付けました。さらに美味しくなるように改良していき、マラガワインをラム酒、クレーム・パティシエールをシャンティイクリームに変えました。

これは今のババ・オ・ラムと同じお菓子です。

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