アニョーパスカルは仔羊の形をしたお菓子で、フランスのアルザス地方で復活祭のときに食べます。

10-20cm程度の高さの小さな雄羊の形をしていて、表面はこんがりと黄金色に焼けて、ふわふわとした軽い食感の生地です。仔羊にはバチカンの象徴である黄と白、もしくはアルザスの赤と白の小旗を飾ります。

目次

名前

Agneau Pascal

[aɲo paskal] アニョー パスカル / フランス語
「キリストの子羊」という意味

Osterlammele / Oschterlammele

オステルラマラ
アルザスの言葉で「復活祭の仔羊」という意味

Lamele / Lammele

ラマラ
アルザスの言葉で「復活祭の仔羊」という意味

構成

分類パティスリー/ガトー
構成ビスキュイ生地

粉砂糖
材料小麦粉

卵白

砂糖

粉砂糖

誕生した時代・場所・人物

時代
フランス
地方アルザス地方(現在のグラン・テスト地域圏)
人物

歴史・由来

アルザスでは復活祭の時に仔羊を領主に送るのが慣習となっており、フランス革命まで続いていました。その後は19世紀末までは仔羊を復活祭の日曜日に食べるのが伝統になりました。仔羊は、磔刑の時と復活祭の日に生き返ったキリストに捧げられた復活祭のシンボルです。

1519年、神学者のトーマス・マーナーの手紙に、男性が婚約者に「アニョーパスカル」を贈ったとの記述が残っており、16世紀にはすでに食べられていたことがわかっています。おそらくこの当時には仔羊肉のことを指していました。

その後、仔羊は少しずつ動物型のオステルラマラというお菓子に置き換えられていきました。それは仔羊の形に型抜きされたビスキュイで、表面に粉砂糖をふり、リキュール風味の卵と黄と白のバチカン色の小さな旗を飾ります。アルザスでは今もこの伝統が残っています。

季節・イベント

復活祭はキリスト教でのもっとも重要な祝日で、十字架にかけられて亡くなったキリストが3日後に復活した日のことです。復活祭は春分後の最初の満月の次の日曜日で、毎年日程が異なる移動祝祭日で、3月下旬から4月下旬の日曜日となります。

伝統的には復活祭の日に朝食やおやつとして、カフェやショコラ、紅茶、アルザスの白ワインとともに食べます。

アルデッシュ県のアノネーでは、復活祭直前の木曜日である聖木曜日にメレンゲでつくった仔羊の形のビスキュイを作っていました。祭壇の上にのせ、町を通り抜ける行進の後に食べていました。

参考にした本

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