12月上旬のサン=ニコラの日が近づくと、人の形をしたパンが出回りはじめます。そのパンはさまざまな名前をもち、そのかわいらしさとこの時期限定のパンのため、とても人気があります。
この記事では、その人形パン、マナラについて発祥や由来、名前について紹介します。マナラはサン=ニコラの伝説とも深く関係があります。
マナラとは?
マナラとは人形パンのことで、アルザス地方発祥でクリスマスの時期に食べられます。
この人形のことをプチ・ボノム(Petit bonhomme)ともいい、「小さな男の子」という意味です。
人形の目は伝統的には干しぶどうで作り、現在ではチョコレートチップでつくることもあります。また、口や帽子、洋服のボタンなども干しぶどうやチョコレートでつくります。
パンはふわふわのブリオッシュ生地を使います。
アルザス地方で誕生したマナラですが、今ではフランス各地で12月のクリスマス時期に出回っています。
主には、12月6日のサン=ニコラの日の夜に、ショコラショーに浸けながら食べるとされています。11月末ごろから12月のサン=ニコラの日前後まで、ブーランジュリーやパティスリーに並んでいます。
フランス東部のフランシュ=コンテ地域圏では、ジャン・プチボノムと呼ばれており、プレーンのブリオッシュに砂糖やチョコレートチップを飾ります。この人形パンはかつて冬の悪魔などの脅威を追い払って、不運から逃れると言われていました。
名前
- Mannala
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[manɛlɛ] マナラ / フランス語
アルザス語で「小さな男の子」という意味
ミュルーズ(Mulhouse)でつかいます - Männela
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[manɛlɛ] マナラ / フランス語
ストラスブール(Strasbourg)でつかいます - Petit bonhomme
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[pəti bɔnɔm] プチ ボンノム / フランス語
「小さな男の子」という意味 - Petit saint-Nicolas
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[pəti sɛ̃ nikɔla] プチ サン ニコラ / フランス語
「小さな聖人ニコラ」という意味 - Jean Bonhomme
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[ジャン ボノム]ジャン ボノム / フランス語
フランシュ=コンテ地域圏(Franche-Comté)で使います

マナラの構成・材料
分類 | 菓子パン |
構成 | ブリオッシュ生地 |
材料 | 小麦粉 卵 バター 砂糖 酵母 チョコレート |
マナラの由来
ベルギー、ルクセンブルグ、ドイツ、オーストリア、スイスといった北ヨーロッパ、アルザスを中心とするフランス北東部では12月6日にサンタクロースのモデルになっている聖人ニコラを祝う伝統的な祭りが行われます。
昔、肉屋が3人の子供をバラバラに刻み塩漬けにしたが、ニコラによって子供たちが復活したという伝説が元になっています。それ以来、聖人ニコラはこどもの守護聖人として崇められています。
12月5日の夜から6日にかけて、子どもたちは聖人ニコラのロバにえさを与えるために、長靴下に干し草とオート麦のパンをいっぱいに詰めて煙突にぶら下げました。これがクリスマスに枕元に靴下をおく習慣の起源です。
聖人ニコラの祝日である12月6日にマナラを食べて祝う習慣があります。この習慣は14世紀に入ってから行われるようになりました。
